発注者支援業務のやりがいや向いているタイプとは?
建設・不動産 転職豆知識
2024.11.14
建設業にはさまざまな職種があります。今回紹介する発注者支援業務もその中の一つです。発注者支援業務は高いレベルのスキルや知識が要求される仕事です。
ここでは発注者支援業務の仕事のやりがいや向いている人について、詳しく見ていきます。どのような資格があると好ましいかについても合わせて見ていくので、ぜひ参考にしてください。
発注者支援業務のやりがい
発注者支援業務のやりがいとして、大規模プロジェクトに携われる点は非常に魅力的です。特に国の官公庁が発注する公共工事案件に関わる機会が多く、橋梁やダム、トンネル工事など、民間企業ではなかなか経験できないプロジェクトに参加できます。これにより、日常の業務では得られない達成感や責任感を得られるでしょう。
さらに、大規模工事や公共工事に携わることで、社会貢献を実感できるのも発注者支援業務の大きな魅力です。公共工事は、私たちの日常生活を支えるインフラ整備に直結しており、その一翼を担うことで、人々の生活を支えるやりがいを強く感じられるでしょう。
また、発注者支援業務は、施工管理の経験を持つ方にとって、これまでの実務経験を最大限に活かせる仕事でもあります。そのうえ、発注者と受注者の間を調整したり、スケジュール管理を行ったりと、新たなスキルの習得にも期待できます。これにより、過去の経験を活かしつつ、更なるキャリアアップが可能です。
さらに、発注者支援業務はワークライフバランスが取りやすい案件が多くあるのも見逃せません。官公庁に準じた勤務条件で、土日祝日が基本的に休みであり、突発的な事態が発生しない限り、残業も少ない傾向があります。カレンダー通りの休暇を取り、夜間の時間も確保できるため、仕事とプライベートの両立がしやすく、オンとオフの切り替えがスムーズに行えるのも、発注者支援業務の大きなやりがいと言えるでしょう。
発注者支援業務に向いているタイプ
ほかの職種同様、発注者支援業務にも向き不向きがあります。応募する前に、自分にこの仕事の適性があるかどうかセルフチェックしておくと良いでしょう。発注者支援業務の適性を持っている人は、主に以下3つの特徴がすべて当てはまる人です。
- ・正確に仕事ができる
- ・柔軟に対応できる
- ・コミュニケーション力がある
なぜ以上の特徴が、発注者支援業務向きなのか以下で見ていきます。
正確に仕事ができる
発注者支援業務は、社会インフラに深く関わる仕事が多く、ミスが許されない厳格な業務です。そのため、几帳面で正確さを追求し、丁寧に仕事を遂行できる人が適していると言えるでしょう。特に、発注者からの指示に対して正確かつ迅速に情報を提供できる能力は、成功するための重要なポイントです。
設計書の内容や数値に誤りがある状態で作業を進めてしまうと、重大なトラブルや事故が発生する恐れがあります。その結果、予定されたスケジュールに遅れが生じ、発注者や関係者に多大な迷惑をかけてしまうリスクがあるのです。発注者支援業務に携わる際には、社会インフラという重要な役割を担い、国民の税金が投入されて進められるプロジェクトであることを常に意識し、責任感を持って業務に取り組まなければなりません。
柔軟に対応できる
発注者支援業務は基本的に発注者の指示に従って業務を進めますが、現場では指示通りに進められない状況に陥ることも少なくありません。たとえば、発注者が作成した施工計画書に誤りが含まれている場合や、現場の品質管理が不十分で予定通りに作業が進められない事態が発生することが考えられます。
このような場合には、どうすれば当初の予定通りに作業を進行できるか、別の方法を迅速に模索しなければなりません。とはいえ、発注者支援業務の役割はあくまで発注者のサポートにとどまります。最終的な判断は発注者に委ねられているため、状況を正確に報告し、判断を仰がなければなりません。
この際、発注者に納得してもらえるように、代替案がなぜ計画通りに作業を進めるために必要かをしっかり説明するコミュニケーション能力も重要です。説得力のある説明ができることで、発注者の信頼を得るとともに、プロジェクト全体の円滑な進行とサポートが可能になります。
コミュニケーション力がある
発注者支援業務では関係者の間に立って業務を円滑に進めるために、優れたコミュニケーションスキルの所持が不可欠です。発注者や受注者の意見を調整し、プロジェクトをスムーズに進行させるには、頻繁かつ正確性の高いコミュニケーションを取り、常に情報共有の徹底をしなければなりません。このような業務には、社交性に優れた人が特に向いています。
関係者との関係を築く上で、自ら進んでコミュニケーションを図る姿勢がなければ務まらないからです。反対に、人見知りで自分から話しかけるのが苦手な方は、その特性が発注者支援業務において障壁となり、業務遂行に苦戦する可能性があります。関係者と積極的にコミュニケーションを取りながら信頼関係を築ける人でなければ、この仕事において成功するのは難しいでしょう。
役立つ資格やスキルも紹介
発注者支援業務において、必須の資格は存在しません。しかし、建設業に関する高度な専門知識が求められるため、資格がないと業務を遂行するのは難しい場合があります。特に未経験者が発注者支援業務の求人に応募する場合、関連する資格を持っていないと、書類選考の段階で不利になります。
資格を取得していることは、その分野で必要な知識やスキルを持っていることの客観的な証明となり、採用担当者にとっても安心材料となります。資格を持つことで、発注者支援業務に必要な専門性をアピールでき、仕事に対する信頼性が高まります。未経験かつ資格を持たない人は、以下4つの関連資格の取得を検討してください。
- ・土木施工管理技士
- ・RCCM
- ・技術士
- ・建築積算士・建築コスト士
ここから先では、上記4つの資格に関する詳細をお伝えします。資格内容を知らない人は、ぜひ参考にしてください。
土木施工管理技士
多くの企業が応募資格として重視している資格の一つに「土木施工管理技士」があります。これは国家資格であり、業務遂行に必要な知識やマネジメント能力を証明するものです。土木施工管理技士には1級と2級がありますが、就職においては1級資格を有している方が圧倒的に有利です。
1級資格は幅広い工事に関わることができますが、2級資格の場合だと主任技術者として担当できる工事の範囲は限定されます。1級資格の合格率は毎年20%強と難易度が高いため、資格を保有していることは大きな武器となります。資格を所持していない人は、まず2級資格の取得を目指してください。そこからステップアップを図ることで、より高いキャリアが目指せるでしょう。
RCCM
RCCMとは「Registered Civil Engineering Consulting Manager」の略称で、日本語では「シビルコンサルティングマネージャー」と呼ばれます。この資格は、土木工事関連の専門家としての能力を証明するものとして認識されています。特に発注者支援業務の中で、道路工事、トンネル工事、河川事業など、社会基盤を支える大規模プロジェクトに関わりたい方にとっては、非常に有益な資格です。
また、地質コンサルティング業務において、管理技術者や照査技術者としての役割を担うためには、RCCM資格が必須となります。そのため、この資格の取得は、土木分野での専門性を一層高めることができ、より高度な業務に挑戦できるようになります。RCCM資格は、土木関連のキャリアアップを目指す方にとって、積極的に取得しておきたい資格のひとつです。
技術士
技術士は国家資格の中でも、科学技術分野における最上級の資格です。この資格ひとつで技術力を証明できるため、発注者支援業務に就く際、非常に役立ちます。また、発注者支援に限らず、土木全般の仕事でキャリアを積みたいと考えている方にとって、この資格の取得は非常におすすめです。
技術士の資格は、21の専門部門から構成されており、その中から一つを選んで受験する形になります。発注者支援業務において、特にプラスになる部門としては、建設部門や上下水道部門が挙げられます。これらの部門のいずれかを選び、合格を目指して受験対策を進めることで、発注者支援やその他の土木分野でのキャリアを大きく前進させられるでしょう。
建築積算士・建築コスト士
建築積算士や建築コスト管理士は、建設プロジェクトにおける価格を算定するための専門資格です。発注者支援業務では、公共工事に携わる機会が多く、公共工事の受注者は一般的に入札によって選定されます。発注者側が最適な受注先を選ぶためには、公共事業における適正な価格の目安を正確に把握しておかなければなりません。
そのような中で、発注者支援業務の担当者が建築積算士や建築コスト管理士の資格を持っていれば、これらの価格目安を正確に算出した値が報告できます。建築積算士は、この分野における基本的な資格であり、さらに上位資格として建築コスト管理士があります。発注者支援の仕事では、大規模なプロジェクトに関わることも多いため、まずは建築積算士の資格を取得を検討してください。
そして、実務経験を積んでキャリアアップを進めていき、最終目標として建築コスト管理士の資格取得をするのが良いでしょう。このステップを踏むことで、発注者支援業務においてより高い専門性を発揮し、プロジェクトの成功に貢献できるようになります。
まとめ
発注者支援業務は、非常に高度なスキルと責任感が求められる仕事です。しかし、経験を積むごとにキャリアアップやスキルアップが期待できる職業でもあります。土木・建築関係の中で、長期的なキャリア形成を目指している方にとっては、特におすすめの分野です。
発注者支援業務に就くためには、自分の能力を証明するための資格を取得しおく必要があります。この記事で紹介したような資格を取得していない場合、まずは試験勉強から始めると良いでしょう。また、発注者支援業務を目指す方は、キャリアコンサルタントのアドバイスを受けられる転職エージェントに相談してみることも一つの方法です。適切なアドバイスを受けながら、必要なスキルや経験を積むことで、発注者支援業務への道が開けるでしょう。