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設備設計になりたい!その前に知っておくべきこと

建設・不動産 転職豆知識

2024.07.19

設備設計になりたい!知っておくべきこととは?

設計業務は大きく3つに分類される中で、設備設計を目指している方も多くいます。設備設計になるためには、どのような経験が必要なのか、どのように経験を積めば良いのか頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。

多くの企業で設計に関する人手が不足していると言われており、未経験歓迎の求人も見かけるため、転職の難易度は低いと思われがちです。しかし、実際に設備設計になりたい場合、容易に願いが叶う物なのでしょうか。

本記事では、設備設計職を目指す際に知っておくべき内容について、企業が求めていることや必要なスキルなどを解説します。

設備設計とは

名刺を渡す男性スタッフ

建築設計の主な仕事として、大きく以下3つに分類されます。

  • ・意匠設計
  • ・構造設計
  • ・設備設計

それぞれの設計業務において、担当する役割が異なります。設備設計は設計業務の中では後工程となり、空調や照明、給排水、インターネット回線などの計画を行い、建物の快適性や省エネルギー性を確保するのが主な役割です。

それぞれの設備工事において専門知識が必要となり、それらを包括的に設計する力が要求されています。近年では、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)などの環境指標や、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)などの省エネルギー性の高い建物が注目されています。

従来、意匠設計が設計業務の花形と言われていましたが、今後は設備設計が主役になる時代となりつつある状況です。

具体的な業務

設備設計の具体的な業務としては、以下が挙げられます。

  • ・空調・照明・給排水などの計画
  • ・配管・配線計画
  • ・メーカーや製品の選定
  • ・設計図書の作成
  • ・申請業務
  • ・着工後の現場の対応など

対象となる建築物は、商業施設やオフィスビル、マンションなど建築物の用途に限られません。設備設計において、空調や照明、インターネットの設備については、こだわりを持っているクライアントが多い傾向にあります。

よって、実際には設計が完了して工事が着工した後も建築主との打ち合わせを重ねて変更しなければならないケースが一般的です。施設にこだわるとコストへの影響も大きい関係上、変更後の性能とコストをわかりやすく説明して、建築主との合意形成を図ることが重要な業務となります。

一般的に、設計と聞くと構想を練って設計図面を作成するまでが担当範囲となるイメージがあるかもしれません。しかし実際には、各種の申請手続きや着工した後の現場対応なども設備設計の業務範疇となります。

求められるスキル

設備設計者として活躍するためには、業務で求められるスキルを持ち合わせている必要があります。設備設計をおこなう上で、特に以下のスキルが問われるケースが多いです。

  • ・調整能力
  • ・コミュニケーション能力
  • ・柔軟な対応力
  • ・BIM(Building Information Model)スキル

各スキルについて、詳しく解説します。

調整能力

設備設計を担当するにあたって、自分ひとりですべての設計を賄えるわけではありません。意匠設計や構造設計からのアウトプットを得て、クライアントのニーズにマッチした建築物を提供できるかが鍵です。

そこで、各設計と連携を取りつつ調整を図れるかが重要となります。また、サブコンなどの関係者と密に連携しながら、プロジェクトを進行させる能力も問われます。

コミュニケーション能力

建物を完成させるためには、多くの利害関係者と連携しながら作業を進める必要があります。また、クライアントの要望をしっかりと捉えた上で設計をしなければなりません。

よって、設備設計として活躍するためにはコミュニケーション能力が必須となります。時には設備設計側の意見を通さなければならないケースもあり、その場合はいかに密にコミュニケーションを取ってクライアントに納得してもらえるかも重要となるでしょう。

柔軟な対応力

設備設計の場合、意匠計画や構造計画、クライアントの要望によって設計変更が必要になるケースが多いでしょう。そこで、スムーズにプロジェクトを進めるためには柔軟な対応力が要求されます。

周囲にしっかりと目配せして、それぞれの要求を満たすように臨機応変に対応できることも設備設計にとって重要なスキルです。

BIMスキル

昨今、設備設計に要求されることが多くなっているのがBIM(Building Information Model)です。BIMとは、コンピュータで作成した主に3次元の形状情報に加えて、各部位の仕様や性能、居室などの名称や用途、仕上げ、コスト情報などの建物の属性情報などを併せ持つ建物情報モデルを構築するシステムのことです。

設備設計が扱っている配管などは、躯体や壁といった仕上げと干渉しやすい傾向にあります。そのため、意匠や構造、設備のBIMを重ねて、施工前にチェックするのが一般的です。

また、BIMによってクライアントに対して具体的な内容がわかりやすく提案できるメリットもあります。

転職に有利な資格

設備設計職として転職したい場合、転職に有利な資格として以下が挙げられます。

  • ・設備設計一級建築士
  • ・建築設備士

各資格の詳細は、以下のとおりです。

設備設計一級建築士

設備設計一級建築士とは、建築工事において特に設備設計に特化した建築士のことです。設備設計一級建築士の資格があると、3階建て以上かつ5,000㎡を超える建築物の設備設計、または設備関係規定への適合性の確認をおこなうことが可能になります。

設備設計一級建築士証を申請するためには、一級建築士として5年以上の設備設計経験があり、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関によって実施される講習の課程を修了しなければなりません。一級建築士と比較しても、修了(合格)率はそこまで低くない資格です。

ただし、一定の経験がないと取得できないので、すぐに取得できる資格ではない点に注意が必要です。

建築設備士

建築設備士とは、建築士法に基づく国家資格となります。建築設備士の場合、建物の設備設計の段階で建築士から助言を求められた際に、適切なアドバイスをおこない建物の安全性を確保する責務があります。

建築設備士制度は、建築設備の高度化や複雑化が進みつつある中で、建築設備に関連する設計や工事監理において的確に対応するために誕生しました。延べ床面積が2000㎡を超える建築物の設計をおこなう際には、建築設備士からアドバイスをうけるように努めなければなりません。

また、建築士事務所の開設者が建築主から設計等の委託を受けた際には、業務に従事する建築設備士の氏名が記載されるなど、一定の責任を負う重要な資格です。資格を保有しているだけでも十分価値があり、ステップアップにも役立つ資格のため、機会があれば取得を目指すことをおすすめします。

求められる学歴とは

設備設計では、「未経験OK」や「無資格OK」などの求人情報がみられます。また、「学歴不問」という求人もありますが、本当に学歴不問で設備設計として転職が可能なのでしょうか。

ここでは、設備設計は学歴不問でも採用されやすいのかについて、企業の本音を紹介します。

学歴フィルターは存在する?

設計職に限らず、中途採用においては即戦力としてスキル、実績が要求されるケースが多いです。実情としては、若手向けのポテンシャル採用の場合、建築関連の指定学科卒者を採用したいと考えている企業が多い傾向にあるでしょう。

資格受験までの期間が、学歴によって異なることも指定学科卒者を優遇する大きな要因となります。ただし、企業側としては実際に採用が思うようにいかないケースが多く、学歴不問の条件で求人を出しているケースがあるのようです。

年齢で採用基準が異なる

学歴不問で求人している企業であっても、本音としては学歴を気にしている傾向があります。また、設計職への転職でも、年代別で求められる資格や経験が異なるものです。

ここでは、年齢別の採用基準の目安を紹介するので、転職を考えている方は参考にしてください。

年代別に求められるもの                                                                                 

20代半ばまでの場合、指定学科卒であれば無資格であっても転職のチャンスが十分にあるでしょう。仕事内容への熱意や資格取得への意欲をアピールできれば、条件の良い転職先を見つけることもできるかもしれません。

指定学科卒以外の場合、資格を保有していなくても実務経験があることが重視されます。20代後半から30代前半の場合は、担当してきた案件規模や企業・業種も重要ですが、二級建築士以上の資格を保有していないと転職を有利に進めるのは難しい状況でしょう。

一方で、一級建築士の有資格者であれば転職を有利に進められる年代とも言えます。30代後半以降になると、企業規模によるものの一級建築士の取得はマストとなります。

完全に無資格・未経験からの転職は非常に厳しいため、他職種で業界経験を積んだ後に設計職を目指すことも視野に入れなければなりません。

まとめ

設備設計職を目指す上で、必須な資格は存在しません。ただし、一級建築士や設備設計一級建築士、建築設備士などの資格を保有していれば、企業に向けて強くアピールできます。

また、少なからず学歴フィルターは存在するため、年齢次第ではあるものの指定学科卒以外の人が設備設計職を目指すには、ハードルが高いことを理解しておく必要があります。キャリアアップや未経験からの目指し方など、建設業界に特化した転職エージェントなどを活用すると、業界・職種の採用市場も踏まえたアドバイスを得られるのでおすすめです。

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