施工管理が悪いわけではない!やめて失敗しないために
建設・不動産 転職成功体験談
2024.11.14
施工管理をインターネットなどで調べてみると、「キツイ」「辞めたい」「給料が安い」といった良くないイメージが先行していることは、施工管理として活躍されている方も施工管理の仕事に興味を持った方もご存知のことでしょう。
では、本当に施工管理という仕事そのものがダメなのか、という点を中心に考えていきます。この記事を読み終わるころにはイメージが変わっているかもしれません。
実際に施工管理からキャリアチェンジした方の実例を紹介していますので、「施工管理は辞めるべきなのか」や「避けた方が良いのか」「他の仕事と比較してどうなのか」など、ぜひ判断にお役立てください。
施工管理のマイナスイメージは本当なのか?
施工管理のマイナスイメージが先行しているのは否定できません。では、実態はどうなのか。どのようなポイントが良くない印象を与えているのかを考えていきます。
まずは代表的な5つのポイントを紹介していきましょう。
- ・休日が少ない
- ・労働時間が長い
- ・発注者から無茶な要求
- ・給料が安い
- ・人間関係を築くのが難しい
施工管理の仕事をしている人が不満に感じている点やストレスを感じている点やイメージに注目すると、上記のようなポイントが多く挙がります。それぞれに関して詳しく解説していきます。
休日が少なくリフレッシュできない
施工管理の仕事で特に聞かれるのが、休日の少なさです。工事はあらかじめ工期が決められています。その中で現場をしっかりと調整していくのが仕事となりますが、天候の影響や作業の進行状況によっては、休日も工事を進める必要が生じるケースもあります。
もちろん休日に出勤することになれば、休日出勤手当の対象となりますので、収入という面ではプラスになりますが、代休が取れるかどうかは勤めている企業次第です。代休が取れない企業も少なくないようで、単純に休日の少ない仕事としてイメージされる要因でしょう。
ですが、考えてみてください。このような状況になるのは施工管理だけで見られることでしょうか。建設業界以外においても、ほとんどの仕事には納期などの期限が設けられています。間に合わなかったり、イレギュラーなことが起これば、休日出勤もあるでしょう。
労働時間が長く体力的にきつい
施工管理の仕事は、労働時間が比較的長いといわれています。実際にはどうなのか、業種別で公開されている公的データから考察していきたいと思います。
参考にするのは厚生労働省が毎月発表している「毎月勤労統計調査」の「月間実労働時間及び出勤日数」のデータです。この記事の執筆時点で、もっとも新しい2024年2月のデータを紹介しましょう。
業種 | 月間労働時間 | 所定外労働時間 | 月間出勤日数 |
建設業 | 161.6時間 | 13.4時間 | 19.8日 |
鉱業・採石業等 | 152.7時間 | 13.4時間 | 19.1日 |
製造業 | 157.0時間 | 13.3時間 | 18.9日 |
電気・ガス業 | 148.5時間 | 16.4時間 | 17.5日 |
情報通信業 | 150.4時間 | 16.0時間 | 17.7日 |
運輸業・郵便業 | 163.3時間 | 21.8時間 | 19.1日 |
卸売業・小売業 | 126.7時間 | 6.9時間 | 17.3日 |
金融業・保険業 | 137.9時間 | 12.0時間 | 17.3日 |
不動産・物品賃貸業 | 147.8時間 | 12.0時間 | 18.3日 |
各業界別の労働時間データは上記の通りです。業界全体のデータですので、施工管理という仕事に特化したデータではありませんが、建設業のデータが参考になるでしょう。
月間労働時間は、ここで挙げた業界のなかでも2番目に長く、月間の出勤日数を見るとほかの業界と比較しても多く、建設業界として休日が少ないというのは事実と言えるでしょう。
しかしその反面、所定外労働時間に関しては4番目でそこまで長くはなく、「1日の残業が多い」とはイコールではないのが特徴です。
発注者から無茶な工期を設定される
工事現場の工期に関しては、最初から比較的タイトな設定であることが多く、また工事を進める中でその工期をさらに縮めるような指示が来るケースもあるでしょう。また、工事現場は屋外であることが多く、天候などの影響で工期がずれることも少なくありません。
工事現場の状況を知らない発注者は、現場の状況に関わらず無茶な発注や指示をしてくるものです。施工管理者はその要望を無視できないため、日程調整や人員配置、さらに下請け業者同士の業務の調整など考え、発注者の要望にこたえなければいけません。
一言で調整といっても、机上で調整するわけではなく、実際に現場で作業をしている人員に説明して調整をしていくため、精神的な負担が大きい仕事といえるでしょう。
労働環境のわりに合わない給料
施工管理の仕事は過酷な部分があります。上記のように、発注者からは無理な注文が来ることもあり、現場では天候や下請け業者の日程のズレなどが生じれば、すぐに現場に駆け付けて調整を行います。
さらに、こうした現場を同時に複数抱えることもあり、労働量という点では多く感じるという方が多いでしょう。
前述したとおり、企業によっては休日が少なく労働時間が長いこともあります。体力的にも精神的にも疲弊する仕事にしては、給料が安いと感じるケースは少なくないでしょう。
良好な人間関係を築きにくい
施工管理者は、1つの現場でも多くの人と連携しながら管理を行います。現場で働く方の多くが職人であり、いわゆる職人気質の頑固な方も少なくありません。また、こうした職人の世界では今でも体育会系な考え方が残っていることも多いのは事実です。
施工管理者である以上、こうした職人の方々の業務日程の調整も重要な仕事です。遅れている部署には作業を早めるよう進言し、ほかの業者の遅れのせいで待たされている職人をなだめるといったことも必要になります。
こうした現場を複数抱えていると、さらに人間関係で悩むというケースは多くなるでしょう。特定の上司や同僚と働くわけではなく、現場ごとに違う、多数の職人の方をまとめる必要があるため、人間関係のストレスという点では大きい仕事と言えるかもしれません。
施工管理の働き方
施工管理者という仕事は確かに厳しい仕事です。しかし、近年では各企業において、働き方改革が実行されているケースが少なくありません。では、施工管理者がこの働き方改革でどのように働きやすくなっているのかについて確認していきましょう。
採用強化
大手はもちろん中堅規模の建設業においても採用の強化に力を入れている企業は少なくありません。
施工管理者の業務が厳しいのは、1人でひとつの現場、もしくは複数の現場を管理しているからです。これが複数人で対応できるようになれば、少なくとも労働時間の問題や休日の確保という問題は解決できます。
そこで企業は転職サイトや転職エージェントを通じ、新たな人材採用に力を入れているというケースが多くなっています。
DX導入
施工管理者は、転職エージェントを利用した中途採用などで即戦力を雇用しない限り、自社内である程度指導・教育をしていく必要があります。常に人事採用をしながら、同時に入社した方に指導・教育をし、さらに現場を回すとなると企業の負担も小さくありません。
そこで、導入する企業が増えているのが「DX戦略」です。これまで手作業だった部分をデジタル化することで、業務の短縮ができ、ほかの業務も担当できるようになります。
また、作業現場にもDXが導入されれば、施工管理の仕事も短縮化でき、労働時間の短縮といった点でも効果が期待できるでしょう。
施工管理からキャリアチェンジした方の事例
ここからは、実際に施工管理から転職し、キャリアチェンジした方の声を聞き、今の仕事と施工管理の仕事を比較していただきます。
施工管理からキャリアチェンジして良かったという声もある中、この仕事を続けていればよかったという声もあるようです。
20代後半男性:建築施工管理 → 建築営業
20代後半でお子さんが生まれ、お子さんとの時間を大切にする、また妻の家事をできるだけ手伝いたいという思いから、施工管理から建築営業にキャリアチェンジした男性の事例を紹介します。
転職したことで、休日はしっかり休めるケースが多くなったようです。もちろん建築営業の仕事ということで、土曜出勤が完全になくなったということではないようですが、施工管理時代と比較するとしっかり休日は確保できているようです。
施工管理として働いた経験と、その場で身に着けた知識は建築営業の仕事でも十分生かすことができ、充実の時間を過ごせるようになっているので、これは転職の成功例と考えていいでしょう。
40代前半男性:土木施工管理 → 工務
特に土木業界の施工管理は、出張や単身赴任が多く、また現場によっては夜勤というケースも少なくありません。そんな勤務体系で、体力的に厳しいと感じ、公務員に転職した40代前半の男性の方の事例を紹介しましょう。
転職したことでオフィスが固定され、出張や夜勤も一気に減ったため、体力的な問題は概ね解決できたそうですが、同僚や事務所などを含む職場環境に変化はなく、”いつも同じ”ことにストレスに感じるようになったそうです。
施工管理の仕事は、刺激があったりある程度の息抜きができる仕事だったため、施工管理の仕事も悪くなかったと感じているようです。
20代前半女性:建築施工管理 → 技術系の公務員
施工管理の仕事は、常に現場の状況次第で動く必要があり、仕事とオフのメリハリがつけにくい仕事でもあります。こうした部分や、単純な労働時間の長さから施工管理の仕事を辞め、技術系の公務員に転職した20代前半の女性の事例を見てみましょう。
技術系公務員となったことで、労働時間の面ではかなり短縮ができたそうですが、業務が単調な仕事の連続であり、メリハリができたかと聞かれると答えづらい面があるようです。
また、収入も公務員ということもあり以前の2/3ほどに減り、歩合給というわけでもないため何をモチベーションに仕事に取り組むべきかで悩んでいるようです。
施工管理時代の労働時間は長かったものの、常に新鮮な問題に対処するため、モチベーション維持という面ではあまり考える必要はありませんので、そちらの方がこの女性にはあっていたのかもしれません。
30代前半男性:設備施工管理 → 工場ライン作業員
施工管理の仕事では、現場の進行が思うように進まず、勤務形態も不規則になりがちだった30代前半の男性の事例を見ていきましょう。
工場でのライン作業員となったことで、年収は半分になったものの、これまで不規則になりがちだった勤務形態が安定し、趣味の釣りにも行けるようになったようです。
ワークライフバランスが整えたかった、こちらの男性には良かったのかもしれません。
施工管理の転職で失敗しないためのまとめ
建築現場での作業というものは、ネガティブなイメージが持たれやすい仕事と言えます。しかし、施工管理の仕事の実情や、企業の取り組み、さらに実際に転職した人の意見を見ると、そこまでネガティブな仕事ではないということが分かります。
施工管理にネガティブな部分があるとすれば、それは仕事自体ではなく勤めている企業の問題と考えることができます。今現在「施工管理の仕事を辞めたい」と感じている方は、一度落ち着いて同業他社の情報を集めてみるのもいいかもしれません。
転職を考えている方は、ほかの業種への転職と同時に、同業他社で施工管理の仕事に就くという選択肢も残しながら転職活動することがおすすめです。自分ひとりで考えてもなかなか結論が出ないという人は、その業種に詳しいプロに相談するのがおすすめです。
転職エージェントでは、こうした転職に対する悩みや、ほかの企業での対応など、業界に特化したサービスを提供しているため、的確なアドバイスが可能です。転職で悩んでいる方は、ぜひ一度転職エージェントをチェックしてみてください。