発注者支援業務の平均年収や求人例を紹介
建設・不動産 転職成功ノウハウ
2024.12.19
「発注者支援」という言葉を耳にしたことはありませんか?最近しばしば聞かれるようになったワードなので、名前だけなら知っている人もいるでしょう。しかし具体的にどのような業務を行っている人なのか、知らない人も結構多いかもしれません。
ここでは発注者支援とはどのような役割を担っている人なのかについて見ていきます。また発注者支援になるとどの程度稼げるのか、どうすれば収入アップするのかについても見ていきますので参考にしてください。
発注者支援とは
発注者支援とは、発注者の代わりに工事の積算や検査を行う業務を指します。この職種は公務員の補助的な役割を果たします。もともとは、これらの業務は技術職員が担当していました。しかし、業務量の増加に伴い、技術職員だけでは対応しきれなくなり、さらに民間の雇用を拡大する目的もあって、発注者支援という職種が誕生しました。
発注者支援は、長い間あまり知られていない職種でした。しかし、東日本大震災をはじめとする自然災害からの復興や、老朽化したインフラの整備など、重要な役割を果たす場面が増えたことで、徐々にその存在が認識されるようになりました。現在では、公共事業において欠かせない職種として、その重要性が高まっています。
発注者支援業務の平均年収
発注者支援業務の平均年収は、一般的には400~600万円程度が相場です。しかし、企業の規模や担当者のスキル、経験によっては、さらに高い年収を得られる可能性もあります。特に業界トップクラスの企業に勤務すると、年収1,000万円を超える人も見かけるようになります。
ただし、その分、高度な専門知識やスキルを所持しなければなりません。なぜなら、専門性の高いスキルと実務経験が高い収入を得るために必要不可欠となるからです。高年収を得たい人は、常にスキルアップを図り、業界に精通し続けられる人材になりましょう。
年収に影響する要因
発注者支援業務に従事している人でも、年収には大きな幅があります。中には年収1,000万円を超える高年収を得ている人もいますが、同じ仕事をしていても年収が異なる理由にはいくつかの要因があります。
チームの中の立場
発注者支援業務は、さまざまなプロジェクトチームで働くことが特徴です。チームの規模や性質、そこで任される役割によって、収入も異なるでしょう。チームは数名で構成される小規模なものから、10名以上のメンバーで構成される大規模なプロジェクトまでさまざまです。
チーム内におけるメンバーの経験も多様で、新人や若手の場合、大きな役割を任されることはありません。しかし、実務経験を積むにつれて任される仕事の大きさと責任が増えるため、その大きさに比例して給与も増えます。特に管理技術者はプロジェクト全体の司令塔としての役割を担うため、チーム内で最も高い給与が設定されます。
実績・スキル・資格
これまでの実績やスキルは収入を決める大きな要因の一つです。総合評価落札方式に伴う業者選定の中で、予定担当技術者の過去の実績は評価を決める重要な要素のひとつとなります。
業務理解度や実施体制をはじめとした項目では、高いスペックを持った人材が配置されているかどうかで評価が大きく左右されます。業務を着実に遂行できる実力者がいるとプロジェクトが成功する可能性もアップするので、多少人件費を割いてでもそのような人材を確保する必要があるわけです。
業務の規模・業務実施地域・求人の競合状況
担当している業務内容によって、収入も変わります。高いレベルの業務であれば、それだけ高い能力を持った人材が必要になるからです。たとえば技術的要求レベルの高い案件であれば、待遇などの条件も一般と比較して高くなります。
その他にも自治体派遣業務の場合、一般よりも好条件の案件が多いと言われています。一人で広範囲の業務をこなさなければならず、多岐にわたる知識や能力が必要だからです。
雇用形態
発注支援業務に携わる従業員の雇用形態は、正社員もいれば有期雇用の契約社員もいます。また、所属する企業の立ち位置も収入に大きな影響を与えます。これは、発注者支援に特化した下請け会社が少なくないためです。
下請けや孫請けの会社で勤務している場合、実際に受け取れる給料は少なくなる傾向があります。元請け企業から支払われる報酬から中間マージンが差し引かれるため、最終的な手取りが減少する恐れがあります。そのため、手取りを多く受け取りたい人は、下請けや孫請けの会社ではなく、上流側の企業で働くのがおすすめです。
年収をアップさせるためのポイント
発注者支援業務で働く場合においても、年収は高いに越したことはありません。年収をアップさせるには、いくつか押さえておくべきポイントがありますので以下にまとめました。
- ・資格を取得する
- ・大規模事業に強い企業に転職する
それぞれ、なぜ年収アップできるのかその理由について紹介するので参考にしてください。
資格を取得する
資格取得すれば、基本給に資格手当がつく可能性もあります。資格手当が上乗せされる分、給料アップ効果が期待できるわけです。具体的には以下のような資格を取っておくと有利です。
- ・土木施工管理技士
- ・RCCM
- ・コンクリート技士
- ・測量士
- ・技術士
これらの資格を取得すれば、高いスキルやキャリアを持っていることが客観的に証明できます。実際求人情報を見てみると、特定の資格を取得していることが条件という案件も珍しくありません。資格を持っていない人は、今からでも取得に向けて勉強しておきましょう。
大規模事業に強い企業に転職する
発注者支援業務の給与を決定する要素の一つに、担当する業務内容があります。特に大規模な案件を任されるようになると、より高い報酬を得る可能性が高まります。国土交通省や地方自治体などが発注元となるプロジェクトは、大規模なものが多く、これらを成功させるためには高度な専門性とスキルが必要です。そのため、こうした案件に携わることで、給与がアップする可能性も高くなります。
また、大規模事業を多く受注している実績のある企業に転職することで、大規模プロジェクトに関わるチャンスが増えます。その結果、給料だけでなく、スキルやキャリアの向上も期待できるでしょう。重要なプロジェクトに携わることは、自己成長やキャリアアップの大きなステップとなります。ぜひ、積極的に挑戦してください。
求人例
実際のところ、発注者支援業務の求人は随時どこかで出ているものです。どのような条件で募集が出ているのか、ここでは2024年8月時点で掲載されていた案件5つをピックアップしてみました。
A社
大手建設コンサルタントの募集です。こちらは皆さんの持つスキルに合わせて、月給50~80万円で募集していました。
あまり経験のない人でも、サポートが手厚いので安心して働けるでしょう。経験豊富なベテランの従業員がバックアップしてくれるので、わからなかったり迷ったりした場合でも周りに聞けます。
B社
公共工事の積算業務を担当するスタッフの募集です。月給は20万5,000~40万1,000円で募集が出ていました。参考までに30~50代のキャリア採用で、年収460~840万円程度稼げます。現場手当額も月額15,000円と手厚い待遇です。
ワークライフバランスを重視しているのも、この求人の特徴です。年間休日は128日以上あり、プライベートもしっかり充実させられます。有給休暇の取得実績もあり、平均すると12日です。
C社
平成2年に設立された会社で、官公庁の取り扱っている事業を数多く取り扱っています。関東地方整備局局長賞の受賞など、大きな実績を擁している会社です。年俸制でキャリアにもよりますが、予定年収は430~700万円で募集していました。
年間休日日数は127日で、こちらもワークライフバランスを重視していることがわかります。土日祝日休みでカレンダー通りに休めるので、友人や家族とスケジュールの調整もしやすいでしょう。年間有給休暇も最大20日取得可能です。
D社
高速道路管理事務所での募集です。基本給として20万5,000~23万円と掲載されていました。土日祝日休みの完全週休2日制で、年末年始や夏季休暇も用意されています。また有給休暇も初年度10日取得可能です。
しかし、ほかの案件と比較して給与が少ないと感じたかもしれません。その理由は、未経験者でも応募可能な案件だからです。これから発注者支援業務のキャリアをスタートさせたい人にはおすすめですが、経験者にとってはおすすめできない案件となります。
E社
施工管理経験のある人を対象にした求人です。年収600万円以上と、高収入が期待できる案件と言えます。デジタル化を推進している企業で、タブレットや施工管理ソフトを導入しており、効率的に作業できる環境を整備しています。
このため、残業は少なめです。月平均15時間になります。土日祝日は原則休日で、年間の休日日数も122日です。子ども手当1人当たり1万円と子育て世帯の積極的なサポートも実施している会社と言えます。
まとめ
発注者支援業務の収入について見てきましたが、年収は総じてほかの職種と比較して高めです。重要なプロジェクトを任される場合も多いですし、高いスキルや専門知識が要求されるためです。
もし発注者支援業務を担当していても収入がなかなか上がらなければ、転職を検討したほうが良いでしょう。大規模事業の実績が多い企業に転職できれば、年収アップするかもしれません。もし今の自分の能力に対して現在の職場が妥当に評価しているかわからなければ、転職エージェントに相談するのも一考です。