不動産DX導入企業の効果や働き方を紹介
建設・不動産 転職豆知識
2024.11.14
業界によっては、人手不足が深刻化しており、いかに有能な人材を確保できるかが重要となっています。同時に、業務効率化を図り、人に頼らない対応も問われています。
業務効率化を図る上で、DXの導入は欠かせないものです。不動産業界においても、まだ導入事例が2割程度と言われているものの、徐々に普及が進んでいます。
では、不動産業界でDXを導入すると、どのような効果が得られるのでしょうか。本記事では、不動産DX導入企業の効果や働き方を紹介します。
自社でも導入できる可能性がある事例も多いので、ぜひ参考にして業務効率化を図りましょう。
不動産DXの必要性
不動産業界において、DX化の流れは進みつつあります。ただし、まだ業界全体の2割程度しか進んでいない実情があります。
確実にDXの必要性があるものの、それを阻害する要因も少なくありません。不動産DXの必要性としては、主に以下の観点で求められている状況です。
- ・アナログ作業の常態化
- ・人手不足
- ・ニーズの多様化
各観点の詳細について、解説します。
アナログ作業の常態化
不動産業界における問題として、未だに古い商習慣が根強く残っている点が挙げられます。具体的には、非効率的なアナログ作業が常態化している状況です。
例えば、契約書や重要事項説明書などを作成する際には、紙媒体が活用されている実情があります。また、来客と内見時の接客はオンラインではなく対面式が多く、古い顧客管理システムを使用している場合も多いです。
古くから不動産業界で働くスタッフからすれば当たり前のことでも、今の時代に即していないものが多くみられます。アナログ作業によって業務する場合、どうしても多くの人の力に頼らざるを得ないのです。
一方で、お客様としてはインターネットに公開されている情報を参考に、物件探しをする人が大半です。未だに紙媒体の物件情報を提供している場合がありますが、紙自体の印刷コストがかかり、情報を更新できないデメリットもあります。
よって、お客様からすればインターネットの情報の方が常に最新であり、チェックしたいときにいつでも見られるので重宝されているのです。このように、お客様のニーズに対応するためにも、今までのアナログ作業から抜け出す必要があります。
IT化やITの活用によって、商習慣や企業風土の改革が求められているとも言えます。
人手不足
令和5年に厚生労働省が公表した「令和4年雇用動向調査結果の概況」によれば、不動産業・物品賃貸業の離職率は以下のように推移しています。
- ・令和3年:11.4%
- ・令和4年:13.8%
上記離職率は、他の業界と比較しても高く、人材の流出が止まらない状況です。なぜ人材の流出が止まらないかと言えば、不動産業界において昔からある慣習などによって、非効率的な業務が常態化しているためとみられています。
非効率的な業務が多い場合、長時間労働しなければならない要因となり、結果的に慢性的な人材不足を引き起こすのです。さらに、日本における問題として少子高齢化による働き手の減少がみられる点も影響しています。
不動産業界においては、今後も人手不足が進行するとみられており、人手不足の解消が急務となっているのです。
ニーズの多様化
不動産業界においてDX化が求められている背景として、お客様のニーズの多様化が上げられます。物件情報を収集する際には、インターネット上の情報を参照するのが当たり前になっています。
また、従来は新築か中古物件なのかなどの情報を知りたいというニーズが多かったのに対して、最近ではリノーベーションされた物件を探したいという需要も多いです。これは、ライフスタイルの変化や建築資材の高騰などが要因と言われています。
複雑かつ多様化したニーズに対応するためには、人手に頼る接客には限界があります。そこで、不動産業界でもDXを導入して新しい取り組みにもチャレンジすることが重要です。
DX化による効果
不動産業界において、DXを導入することにより、様々な効果をもたらします。特に、以下の効果を得られる点が魅力となっています。
- ・業務効率化
- ・離職防止
- ・新しいビジネスの展開
各効果の詳細は、以下のとおりです。
業務効率化
DX化による最大のメリットとして、業務効率化を図れる点が挙げられます。先述したとおり、不動産業界ではまだまだアナログ的な考え方が残っている状況です。
紙文化が残っているので、様々な書類が紙として保管されています。そこで、DXを導入することで書類のペーパーレス化を推進できるメリットがあります。
ペーパーレス化による効果は、以下のとおりです。
- ・印刷コストを抑えられる
- ・保管場所を確保する必要が無い
- ・保管や検索が容易
紙として保管する場合、紙に印刷しなければなりません。当然、印刷するために紙代と印刷代がコストとしてかかってしまい、印刷する手間もかかります。
そこで、DX化すれば電子データとして保管するので紙を印刷する手間をカットできるのです。また、印刷した紙を保管する場所も不要となり、ファイリングにかかる時間も短縮できます。
さらに、データとして保管しておくことでデータベース化できるので、検索が容易になるだけでなくマーケティングなどのデータとしても活用できるメリットもあります。以上のように、ペーパーレス化だけでも大きな業務効率化を図れます。
最近では、電子契約システムも普及しており、契約書などもペーパーレス化が可能となりました。DXによる業務効率化としては、ほかにも、接客をオンライン化できるメリットもあります。
通常、不動産営業における接客とは、対面で行うのが当たり前でした。賃貸仲介営業においても、物件に興味を持ったお客様に対して対面で物件情報を紹介したり、内見に対応したりしていました。
今では、VR技術の進化などによって、内見もオンラインで対応できるようになったのです。まるで現地に訪問しているかのようなリアルな体験が可能で、現地の内見が不要となりつつあります。
また、VRの活用により実際に家具を置いたシミュレーションができたり、日当たりを確認できるメリットもあります。接客のオンライン化によって、お客様だけでなくスタッフ側としても、負担を最小限に抑えつつ、より多くの成果を上げることが可能です。
離職防止
不動産業界における人材不足の原因として、人材を確保できないと同時に、離職率が高い側面があります。せっかく人材を確保しても離職してしまっては、意味がありません。
離職を防止するためには、働きやすい環境かどうかが重視される傾向があります。
特に、最近ではライフワークバランスがキーワードとなり、働くことと生活することをうまく両立する働き方が求められています。ライフワークバランスを実現するためには、時間外労働がなく働けるかが鍵となります。
その点で、不動産業界でDXを導入することで、業務効率が向上し、時間外労働を減らせる効果があります。また、不動産会社によってはAIによる接客も取り入れており、常に接客対応する必要がなくなり、夜遅くの接客機会も減らせるのです。
働きやすい環境を整えて離職防止できれば、自然と生産性が上がるものです。これにより、就業意欲の維持に繋がる好循環が生まれます。
新しいビジネスの展開
不動産業界でDXを推進すれば、従来のアナログ作業や古いシステムを排除し、新たなサービスの提供が可能となります。チャットボットによる接客対応やVR内見などを取り入れている企業も多く、成果を上げています。
さらに、DXを活用することで顧客データを蓄積し分析すれば、より顧客ニーズを把握しやすくなります。これにより、多様化する消費者ニーズに対応した新たなビジネスの提供も可能となります。
他社ではみられないような独自のサービスを提供できれば、売上の向上や企業の成長に寄与できる可能性が高いです。また、業務効率化によって空いたリソースを新しいビジネスに活用できる点も魅力的です。
業界のトレンドとして、どのようなビジネスが生まれているのかを知りたい場合は、転職エージェントに確認してみましょう。
まとめ
不動産DXは企業側のメリットはもちろん、求職者・労働者にとって非常にメリットが大きいものです。DXを推進・導入している企業では新しいビジネス展開も期待できるため、立ち上げなどに携わりたい方にもおすすめです。
但し、実際に不動産会社がどのようなDXを導入しているのかが把握できない場合があります。特に、求人情報では得られない傾向があるため、情報を入手するためには転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントを利用すれば、転職を希望する企業のDXに関する取り組みについての情報を得られやすいです。DXが積極的に導入されている企業に転職したい場合、転職エージェントの利用をおすすめします。