公共工事と民間工事、施工管理の役割の違いとは?
建設・不動産 転職豆知識
2024.11.14
公共工事や民間工事の違いを知りたいと考えていませんか。工事は大きく分けて、公共工事と民間工事の2つのカテゴリーに分類されます。
今回は公共工事と民間工事の基本的な違いを踏まえ、各工事における施工管理の役割も確かめてください。
公共工事と民間工事の基本的な違い
公共工事と民間工事は、資金の出どころによって違います。また工事の種類によって、責任と役割が変わります。ここでは公共工事と民間工事の違いを解説するため、ぜひ参考にしてください。
公共工事
公共工事とは、国や自治体といった公的機関が発注する工事を指します。公共工事の予算は税金で賄われます。そのため社会的重要性の大きい案件がほとんどです。
また、公共工事のプロジェクトを監督するのは、政府機関です。そのため工事に関するコンプライアンスも厳しく取り締まられます。安全面の配慮や欠陥の防止などについても、細かいところまで気を配らなければなりません。
公共工事は政府機関が主導するため、社会的使命が非常に大きいのが特徴です。事のプロセスには厳格な配慮が求められ、受注企業にとっては大きな責任が伴います。しかし、公共工事は国や自治体が推進するプロジェクトであるため、社会に貢献するやりがいを感じる方も多くいます。
公共工事のもう一つの特徴は、担当する工事の規模が大きい点です。工事対象の多くは、国や地域が運営する施設やインフラであり、これらは人々の日常生活に直結しています。公共工事の種類は、以下の5つに分類されます。
- ・土木工事
- ・建築工事
- ・電気工事
- ・造園工事
- ・管工事
たとえば、土木工事にはトンネルの建設や道路整備が含まれ、電気工事では電柱の送配電線や公共施設内の配線工事が代表例として挙げられます。これらの工事は、公共施設やインフラを新たに建設したり、修繕したりするもので、社会的な影響が非常に大きいといえるでしょう。
公共工事のメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- ・インフラストック効果
- ・インフラフロー効果
- ・社会的信用の向上
インフラストック効果とは、インフラ整備を通した社会的生産性の向上です。工事の結果として、人々が生活で使いやすくなることが重要といえます。代表例は公共施設の耐震性強化や地方へのアクセス向上を見据えた道路整備などです。
インフラフロー効果は、公共施設の工事による雇用促進効果です。大規模な工事では、多くの人手が欠かせません。しかし国や自治体が公共施設の整備に投資すれば、作業に参加する人が集まりやすくなります。その結果として経済の活性化が起きるかもしれません。
公共工事は、取り組んだ企業の社会的信用の向上に寄与します。たとえば、公共施設の耐震強化を行うことで、人々が安心して利用できるようになります。また、地震によるケガや建物の倒壊リスクを減らせるため、地域の評判が間接的に向上します。公共工事にはさまざまなメリットがあり、社会的重要性や使命が大きいといえるでしょう。
民間工事
民間工事は、個人や民間企業が発注する工事です。公共工事との違いは、国や自治体が関与していない点です。建物の新設など大規模工事から、建物の部分的な修繕といった小規模工事まで、さまざまな規模の工事が行われます。
民間工事の資金は、個人や企業が調達したものです。受注者は建築物の適正な品質を確保し、安全に工事を完了させる責任があります。これらを遂行した上で、完成した建物や施設を発注者に引き渡します。
工事対象の一例として、以下を確認してください。
- ・マンション
- ・ビル
- ・福祉施設
- ・商業施設
- ・自治体以外が管理する水道
たとえば、マンションやビルは多くの場合、不動産や建築系の企業が運営しているため、民間工事の代表的な例となります。マンションやビルを建設する際には、運営会社が自社で建築工事を行うこともあります。
民間工事は、国や自治体が関与していない点で公共工事とは異なりますが、工事の対象にはマンションやビルなど、人々の生活に深く関わるものが数多くあります。そのため、安全に工事を進め、完成した建物や施設を発注者に引き渡す責任が非常に重要となります。
民間工事のメリットは、主に以下の2つです。
- ・柔軟性とスピード
- ・リスクと収益性のバランス
民間工事は、工期短縮やコストの効率化など、柔軟な対応が期待できる点が特徴です。市場の状況や予算の変動に応じて、迅速かつ正確な意思決定ができるため、公共工事よりも意思決定プロセスがスムーズに進むケースもあります。
もう一つのメリットは、リスクと収益性のバランスを取りやすい点です。民間工事では、不測の事態に備えて適切な保険の選択が可能です。また、市場調査や徹底的なコスト管理を通じて、工事内容の最適化が図れるため、リスクマネジメントがしやすい案件も数多くあります。
このように、民間工事は公共工事よりも柔軟な対応が可能で、収益確保やリスクマネジメントが行いやすいといえるでしょう。
公共工事における施工管理としての役割
公共工事の施工管理には、以下の3つの役割があります。
- ・税金の運用による責任感
- ・工事の必要性を踏まえ、方針に応じて計画を実行する
- ・基本的計画の大きな変更の回避
公共工事の施工管理でとくに重要なのは、税金の運用に伴う責任感です。工事に失敗すれば、国や自治体の税金が無駄になるだけでなく、社会的な信頼も損なわれます。そのため、施工管理者は工事中のミスを徹底的に防がなければなりません。
たとえば、完成後の公共施設に欠陥が見つかった場合、国や自治体、そして工事を担当した企業や個人が社会的な非難を浴びることになります。民間工事でもトラブルが発生すれば、解決のために膨大な時間を掛けなければなりません。公共工事の失敗は国全体や世間に迷惑をかけるため、民間工事よりも損害がさらに大きくなるでしょう。
公共工事の施工管理者は、税金が使われている案件の重要性を十分に理解し、常に正確かつ適切な判断を下すことが求められます。
民間工事における施工管理としての役割
民間工事の施工管理における主な役割は、コストを最小化しながら品質向上に集中することです。公共工事では生活の質の向上や社会的使命の遂行が重視されますが、民間工事ではコストパフォーマンスが優先事項となります。そのため、無駄なコストを削減しつつ、工事の品質を高めることが重要です。
たとえば、不動産会社からマンションの建設を発注された場合、コスト削減と品質向上を両立させるために、階数や部屋数などのディテールを慎重に決定する必要があります。無駄な階数を省くことでコスト削減が可能になりますが、同時に耐震性や住みやすさも考慮し、予算内で高品質な建物を提供しなければなりません。これにより、適正な予算で良質な施設を作ることが求められます。
コストを抑えつつ高品質のプロジェクトを成功させることは、民間工事において非常に名誉なことです。そのため、計画に無駄があれば積極的に改善するのが通常の手法です。公共工事では計画の変更が難しい場合もありますが、民間工事では柔軟に対応できます。
定期的に計画を見直すことで、コスト削減が実現できるだけでなく、課題解決のヒントが得られれば、工事の質も向上していくことでしょう。こうした柔軟な対応が、優れた施設を作る鍵となります。工事内容を理想に近づけることで、多くの利益を生み出せるでしょう。
まとめ
公共工事は国や自治体が発注し、税金で運用されます。一方で民間工事は個人や企業が予算を出し、計画を進めるしくみです。工事の形式については、お金の出どころで異なります。
しかしお金の出どころだけが、公共と民間の違いではありません。施工管理の役割も、工事内容によって変わります。そのため工事内容を入念に把握し、なぜ必要かを見極めなければなりません。工事の背景を踏まえたうえで、正しい役割を全うすることが大切です。
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以上から施工管理で何をやりたいかわからない方もいるでしょう。このような問題を解決するには、転職エージェントのアドバイスを受けながら、本当にやりたい仕事を考えてください。