土木施工管理技士とは?具体的な仕事内容や就職までの流れは
建設・不動産 転職豆知識
2024.11.14
建設業には、土木施工管理技士という資格があります。様々な土木工事に関係する資格で、需要が高まっている建築現場では重宝されることが多いです。では、土木施工管理技士とは具体的にどういった仕事をするのか、メリットやデメリットなどと共に解説していきます。
国家資格保持者である土木施工管理技士
土木施工管理技士とは、改修需要が高まっている道路やトンネルなどのインフラや、河川などの土木工事に関係する国家資格です。条件を満たした状態で試験に合格した人が国家資格を取得すると、土木施工管理技士を名乗ることができます。そして、1級と2級に分かれていますが、どちらも仕事内容は大差ありません。ただ、担当できる仕事の規模が異なり、2級は比較的小規模な仕事に限定されます。
それに対して1級は、大型ダムや大規模河川などの土木工事に携わることが可能です。そして、現場での区分も異なり、2級の資格を保有している人は、主に主任技術者として働くことになります。1級の場合は、大規模な土木建築を行う際に必要とされる、監理技術者として働くことが多いでしょう。
土木施工管理技士の仕事内容
土木施工管理技士の仕事は主に、担当する土木工事がスケジュール通り進むよう、全体を管理することです。土木工事の計画を作成したり、現場で作業員に指示を出したり、予算の計算をしたりするなど、具体的な仕事は数多くあります。役所での手続きや、工事現場周辺に住んでいる人への説明なども行わなければなりません。そのため、土木工事に関する色々な仕事をする、オールラウンダーだと考えておくと良いでしょう。
土木施工管理技士の平均な年収
土木施工管理技士全体の平均的な年収は、他の業界よりも高い傾向がありおよそ600万円程度です。国家資格であるため、土木施工管理技士として働き始めた段階で、400万円程度の年収を実現することは不可能ではありません。そして、2級よりも1級の方が担当できる仕事の規模が大きくなるため、年収が高くなる場合が多いでしょう。
2級の平均年収は450万円から600万円、1級は550万円から800万円程度と考えておきましょう。ただ、土木施工管理技士は、資格の級よりも、勤続年数が重視されることがよくあります。そのため、2級であっても、勤続年数や実績などによって、1000万円以上の年収を実現することは可能です。
求人選びから土木施工管理技士になるまでの流れ
土木施工管理技士として働くためには、国家試験に合格して資格を取得する必要があります。では、どのような流れで資格を取得するのか、解説します。
土木工事会社で実務経験を積む
土木施工管理技士の国家試験は、誰にでも受験資格があるわけではありません。まずは実務経験を積んで、受験資格を得る必要があります。条件を満たせる土木工事会社を求人の中から探し、まずは働きながら実務経験を積みましょう。正社員だけでなく、派遣やアルバイトでも実務経験は積めます。そして、受験資格を得るための実務経験の長さは、最終学歴によって異なるので注意しましょう。土木に関係する大学卒であれば1年ですが、普通科の高校だと4年6ヶ月になります。
2級の試験に合格して土木施工管理技士になる
実務経験を積んだら、国家試験を受けて、土木施工管理技士2級の取得を目指します。試験は学科と実地の両方に分かれていて、簡単に合格できるものではありません。そのため、実務経験を積みながら、試験に向けた勉強が必要です。そして、試験に合格できたら、2級の土木施工管理技士として働くことができるようになります。求人サイトや転職エージェントを活用して、土木施工管理技士2級の人材を必要としている会社を探しましょう。
さらに実務経験を積んで土木施工管理技士1級を取得
1級の土木施工管理技士として働くためには、土木施工管理技士2級を取得した後で、さらに実務経験を積まなければなりません。2級の場合と実務経験の条件が異なるので、注意が必要です。そして、2級と同様に、学科と実地の試験に合格すると、1級の土木施工管理技士になれます。また、2級の取得を飛ばして、直接1級の取得を目指すという方法もあります。実務経験を積んで、1級の受験資格を得る形です。ただ、最終学歴次第では、5年から10年はかかると考えておきましょう。
土木施工管理技士として働くメリット
土木施工管理技士として働く場合、数多くのメリットがあります。その中から代表的なものを紹介していきます。
高収入を得られる
土木施工管理技士は国家資格なので、働き始めた段階でもサラリーマンの平均的な年収程度の収入を得られるかもしれません。さらに、そこから勤続年数に伴って、年収は増えていきます。そのため、最終的には高い年収を実現できるのがメリットです。また、会社によっては、資格手当が用意されている場合もあるため、転職する場合はそのような条件の良い企業を探すと良いでしょう。
就職が有利になりやすい
土木工事を行う場合、土木施工管理技士の資格を保有している主任技術者、あるいは監理技術者を置かなければならないと法律で決められています。そのため、土木施工管理技士の需要は非常に高いでしょう。目立った実績がなくても、土木施工管理技士の資格さえ保有していれば、採用される可能性もあります。よって、土木施工管理技士は、就職が有利になりやすいでしょう。
将来性がある
日本では、常にどこかで土木工事が行われていますが、将来的に土木工事がなくなることはありえません。国民の日常生活に大きく関わるインフラだからです。そのため、土木施工管理技士の仕事がなくなることはないでしょう。それどころか、首都圏をはじめとする大規模な再開発や防災を目的として土木工事が増え、土木施工管理技士の仕事も増えてきています。また、既存のインフラには、老朽化が進んでいるものも数多くあります。そのようなインフラの改築工事やメンテナンスにも、土木施工管理技士が必要です。よって、土木施工管理技士は、将来的にも安定している可能性が高い仕事と言えるでしょう。
責任を伴う仕事でモチベーションが上がりやすい
土木施工管理技士は、土木工事の現場責任者です。土木施工管理技士の仕事次第で、土木工事が成功するかどうかが決まると言っても過言ではありません。そのような責任重大な仕事ができるということは、モチベーションが高まるというメリットになるはずです。また、現場の作業員を始めとする、大勢の人から頼られるということも、モチベーションに繋がります。
土木施工管理技士として働くデメリット
土木施工管理技士の仕事は、メリットばかりではなく、デメリットもあります。では、どのようなデメリットがあるのかを確認してみましょう。
身体への負担の可能性
土木施工管理技士は、現場の進捗状況を確認したり、作業員に指示を出したりしなければならないため、屋外で働く場面もあるでしょう。天候に左右される環境で働く可能性があるのは、デメリットと言えるかもしれません。
ただし、業務効率化を進めている企業では心身の負担を減らすような取り組みを行っているところもあるため、気になる人は働き方改革がなされている企業を探してみると良いでしょう。
トラブル対応がある可能性
土木施工管理技士は、現場監督として大勢の作業員を取りまとめなければなりません。そして、作業員の数が増えると、安全管理リスクやその他のトラブルが発生するリスクがあるでしょう。作業員が指示通りに動かないなど、トラブルに対応する場面も出てくるかもしれません。その場合は土木施工管理技士は責任者として、トラブルを解決したり、未然に防いだりする必要があります。そのような仕事は、トラブルとは無縁の環境で働きたいという人にとってはデメリットと言えるかもしれません。
また、すべての企業に上記デメリットが当てはまるとは限らないので、求人エージェントを利用して「どんな仕事がしたいのか」「こういうポイントは避けたい」ということをしっかり事前に共有しておくと良いでしょう。
将来性が期待できる土木施工管理技士
土木施工管理技士は、国家資格が関係する仕事であり、建築業界全体でも需要が高まっているため、将来にわたって安定している可能性が高いです。そのため、相性が良さそうだと感じたら、土木施工管理技士として働くことを考えてみても良いでしょう。また、勤続年数で年収が増える傾向があるため、出来ればキャリアの早い段階で土木施工管理技士を目指すと良いでしょう。