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ファシリティマネジメントとは?仕事内容や将来性について解説

建設・不動産 転職豆知識

2024.12.19

ファシリティマネジメント(FM)が気になっていませんか。もともと企業・団体が持つ設備や利用環境を戦略的に管理し、将来を見据えた最適化をはかろうという、アメリカで生まれたマネジメント手法ですが、当初は「ファシリティを最大限に有効活用する」「運用コストを適正化する」というファシリティマネジメントの考え方はあまり浸透しませんでした。

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は、こちらは経営活動の一種で、施設環境の企画や管理にかかわります。従業員が働きやすかったり、お客様が来訪しやすかったりするように、管理業務を行う仕事と定義しています。

社会的重要性が高いため無資格者でもできますが、関連資格を持っていれば、より歓迎されやすい業種のひとつです。この記事ではこれからの社会において、需要が増えつつあるファシリティマネジメントの仕事内容や、その将来性などを解説します。

ファシリティマネジメントの仕事内容

ファシリティマネジメントの仕事内容

ファシリティマネジメントとは、経営者の視点から建物や施設を管理し、最適な環境を整える仕事です。担当する施設を最大限に活用し、その価値を高めることが求められます。

ここでのファシリティとは、土地や建物などの固定資産を指します。ファシリティマネージャーは、これらの資産の価値を最大化し、その魅力を引き出すことに注力します。

ファシリティマネージャーは、企業や店舗、病院、官公庁など、さまざまな場所で活躍しています。社会には多種多様な業務用施設が存在し、それぞれの業態に合わせた環境の最適化が必要です。利益を生む環境を作るためには、施設管理のスペシャリストの存在が欠かせません。

ファシリティマネージャーの具体的な業務の例として、次の3つが挙げられます。

  • ・施設管理や運営
  • ・不動産の賃貸借や取得などの管理
  • ・施設利用者の満足度評価や向上などのサポート

例えば、施設の管理や運営では、労働環境の健全性や設備の機能を監視します。防災管理体制に問題がある場合は、利用者に周知した上で、改善に努めることが求められます。

また、不動産の賃貸借や売買契約においても、ファシリティマネージャーは重要な役割を果たします。効率的な企業経営のためには、施設使用に関する契約内容を厳密に確認する必要があります。不動産の専門家として、契約に関するアドバイスやサポートも重要な業務として任されることもあるでしょう。

さらに、施設利用者の満足度評価や、それに基づくサポートも欠かせません。利用者の意見を取り入れ、施設が適切に運用されているかを確認し、問題があれば原因を究明し、改善に向けた対応を行います。

このように、ファシリティマネージャーは、施設利用者の満足度向上に努めながら、施設の価値を最大限に引き出すことが求められる重要な役割を担ってるのです。

必要な資格とは

ファシリティマネージャーに必要な資格

ファシリティマネージャーの仕事には、特定の必須資格はありません。関連する資格は存在しますが、これらがなくても業務に従事できます。これは、ファシリティマネジメントに関する法的な規制がないため、求人においても必須資格が求められることが少ないからです。

例えば、企業の管理部門に配属された場合や、不動産管理会社に就職した場合には、ファシリティマネジメントの業務に携わる可能性があります。このように、無資格でも施設管理の仕事に就くことは可能です。

しかし、実際にファシリティマネージャーとして働くためには、幅広い専門知識が必要とされます。施設の最適化は経営改善に直結するため、経営者視点のスキルが求められるでしょう。また、不動産に関する知識も重要で、施設の有効活用や建て替えなどには専門的なノウハウが欠かせません。

以上から、ファシリティマネージャーには必須資格がない代わりに、幅広い専門知識が求められます。ファシリティマネージャーを目指すのであれば、業務内容に応じた重要分野の学習を重ねることが重要です。

その中でも「認定ファシリティマネージャー」の資格を取得しておくと、業務に関する知識を体系的に学べるだけでなく、実務能力の証明にもなります。この資格は、公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会など、3つの民間団体が合同で認定しています。受験資格は特になく、建物に関する知識に興味があれば誰でも受験可能です。

公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会によると、2023年度の合格率は44.3%で、受験者756人のうち333人が合格しました。この合格率から考えると、資格の難易度はそれほど高くないといえます。

認定資格を持っていると、就職時に有利になることがあります。資格は、経営戦略や施設改善に関連する学習の成果を示すものだからです。これらの分野に興味がある方は、就職前に関連資格を取得しておくとよいでしょう。

求められるスキルとは

ファシリティマネジメントに求められるスキル

ファシリティマネジメントでは、経営やヒューマンスキルが求められます。たとえば経営者の視点で、企業の業績向上に向けた施設の改善方法を見出さなければなりません。ヒューマンスキルは現場監督や管理者、経営層の視点から、最良の判断を下せる能力です。重要なスキル2つを、以下で見ていきましょう。

経営に関する知識とセンス

まず重要なのは、建物に対する知識です。たとえば、コンビニエンスストアの運営会社が新しい立地に店舗を開設する際、ファシリティマネージャーの役割は、単に施設管理にとどまりません。商品の並べ方や陳列棚の配置においても、最適なアドバイスを提供します。

さらに、顧客が訪れやすい環境を整えるため、施設の整備や店内の温度管理など、細かな指示やマニュアルの作成も担当します。このように、施設の環境を整えることで従業員が働きやすくし、顧客がリピーターになりやすい店舗を提供することも、ファシリティマネージャーの重要な業務の一部です。

次に求められる素質は、経営者的な視点を持つことです。建物に関する専門知識だけでなく、経営者の視点からその知識を活用することが求められます。経営的な知識とセンスがなければ、施設のサポート業務を効率的に進められません。

このように、ファシリティマネージャーには、企業の利益を追求するために、物件や土地に関する知識だけでなく、経営者視点のノウハウや感覚が必要とされます。

ヒューマンスキルの高さ

ファシリティマネージャーとして活躍するには、ヒューマンスキルも欠かせません。ここでのヒューマンスキルとはコミュニケーション能力の一種で、自身の考えをわかりやすく伝えたり、相手の考えを正確に理解したりする力です。以上から現場監督や管理者、経営者に欠かせない能力とされます。コンサルティングの仕事もこなすためには、このコミュニケーションのスキルが欠かせません。

サービス業や医療などの分野を担当する際は、「ホスピタリティマインド」も求められます。ホスピタリティとは「おもてなし」や「深い思いやり」という意味です。飲食店やスーパーマーケット、病院などでは従業員だけでなく利用者にとっても使いやすいことが大切です。

ファシリティマネージャーは誰もが使いやすいように、施設の管理や改善をしていかなければなりません。そのため経営者だけでなく、従業員や利用者の目線も大事にしましょう。

ファシリティマネジメントの将来性

ファシリティマネジメントの将来性

ファシリティマネジメントは社会的な重要性が高いこともあり、市場規模の拡大が予測されています。

ファシリティマネジメント市場規模は2024年に1兆3,300億米ドルと推定され、2029年には1兆6,600億米ドルに達し、予測期間中(2024~2029年)のCAGRは4.66%で成長すると予測されます。

引用:『ファシリティマネジメント:市場シェア分析、産業動向と統計、2024~2029年の成長予測』の概要

上記のCAGRとは「年平均成長率」で、前年比の市場拡大の割合です。

世界的に重要とされる職業なので、就職や転職市場でも需要が広がるでしょう。多くの企業は業績向上に頭を悩ませているからです。そこで施設管理のスペシャリストを採用できれば、環境改善による業績の向上を期待できます。

国内外の経営者にとって、ファシリティマネージャーは重要な存在です。この職業は、将来的な需要拡大が見込まれ、社会的な重要性が増すと見られます。これからファシリティマネジメントの勉強をすれば、スキルを存分に発揮できるかもしれません。

求人内容の傾向

求人内容の傾向

ファシリティマネージャーの求人では、有資格者が歓迎されやすい傾向にあります。しかし実際には有資格者が少ないため、多くの企業は実務経験を重視した選考をしている現状があります。ここでは、求人内容の傾向について詳しく見ていきましょう。

ファシリティマネージャーは、有資格者であれば重要な人材として評価されやすくなります。不動産管理会社やコンサルティング会社では、この傾向が特に強く、採用の可能性を少しでも高めたい人は資格取得後の応募がおすすめです。

特に資格で重要視されやすいのは、認定ファシリティマネジャーです。その次に宅地建物取引士や、建築施工管理技士など、不動産関連の資格が高評価を受けやすい傾向にあります。これらの資格が所持している人材は、経営ノウハウがあり、不動産にも詳しいと見なされるためです。

一方で、実務経験を重視する企業も少なくありません。このような企業は、施設管理や関連コンサルティングの経験者を求めており、資格がなくても、実務経験が豊富であれば採用される可能性があります。企業によっては、求職者の経歴を評価し、ファシリティマネージャーとして有用なスキルを見出すこともあります。

このような背景から、認定ファシリティマネージャーの資格がなくても、諦める必要はありません。不動産管理や建築、経営コンサルティングなどの実務経験を強調することで、面接で好印象を与えることができるでしょう。資格だけでなく、過去の職歴を活かして採用される求職者も多くいます。

ファシリティマネジメントのまとめ

ファシリティマネジメントのまとめ

ファシリティマネジメントは、施設管理や環境改善を通じて企業の利益を生み出す重要な職種です。必須の資格はありませんが、スキルを証明するために関連資格を取得しておくと就職や転職に対して有利に働きます。また、認定ファシリティマネージャーの資格に加えて、不動産や建築に関する資格も大きなアピールポイントとなるでしょう。

ファシリティマネージャーとして成功するには、幅広い専門知識が必要です。間違ったアドバイスを行うと、環境の悪化や業績の低下するため、正確な専門知識をしっかりと身につけておく必要があります。このため、ファシリティマネージャーの採用率は高くありません。

ですが、無資格でもファシリティマネージャーとして働きたいと言うのであれば、ぜひ転職エージェントに相談してみましょう。資格や職歴をもとに、最適なキャリアプランをアドバイスしてもらえます。無資格者でも、資格取得までのステップや、面接時の効果的なアピール方法を学ぶことができるでしょう。

転職エージェントは、相談者の希望に応じて的確なアドバイスを提供します。ファシリティマネージャーを目指す方も、まずは気軽に相談してみてください。施設管理や環境改善に興味があるなら、転職エージェントへの問い合わせが第一歩となるでしょう。

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