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意匠設計とは?概要や仕事の内容などを紹介

建設・不動産 転職豆知識

2024.01.16

意匠設計の概要や仕事内容を紹介

意匠設計とは、建物全体の印象や機能性などを決める重要な仕事のひとつです。クリエイティブな発想から具体的なデザインの実現まで、仕事内容は多岐にわたります。今回は、意匠設計の概要や仕事の内容など、さまざまな側面について紹介します。

意匠設計とは

手書きパース

意匠設計とは、建築物や構造物の美的な側面や機能性を考える設計のことです。建築家や建築士によっておこなわれ、建物の形状、色彩、素材、間取りなどを決定し、施主の希望、予算、建築基準法などを考慮します。建物が周囲の環境と調和し、その場所に適しているといった要件を確保するための重要な仕事です。建物の外観を魅力的なデザインにするだけでなく、使い勝手も考慮し、建物内部の機能的な配置などについても検討します。

意匠設計に従事するには、建築士の資格が必要になるのが一般的です。建築士は、木造建築士、二級建築士、一級建築士の3つの主要な資格カテゴリーに分かれます。そのうち木造建築士は、小規模な木造建築物の設計に特化した専門知識を持っています。一方、二級建築士は、木造建築のみに限定されず、小規模な建築物全般を設計することが可能です。一級建築士は、どのような規模や用途の建築物も設計する資格を持っており、より高度で複雑なプロジェクトに取り組むことができます。

意匠設計の仕事内容

打合せ中の設計職

意匠設計の役割は、建物や構造物に美的な価値を与え、同時に機能性や居住性を確保し、人々に魅力的な環境を提供することにあります。設計士や建築専門家などは、この調和を保ちつつ、クライアントの要望と規制に適合したプロジェクトを実現する責務を負っています。意匠設計の主な仕事内容は、以下のようなものです。

調査・分析

建築物の敷地や周辺環境、施主の要望や予算、法規制や社会的な背景などを調べて、建築物の目的や条件を明確にします。建築物の敷地や周辺環境については、現地調査や地図・写真・空中写真などの資料を用いて、敷地の形・面積・高低差・方位・日照・風通し・景観・歴史・文化などを把握することが重要です。また、周辺の建築物や道路・河川・植生などの状況や、騒音・振動・臭気などの環境負荷も同様に調べます。

施主の要望や予算については、ヒアリングやアンケートなどの方法で、施主の目的・要求・希望・優先順位などを明確にすることが必要です。また、施主の経済的な状況や工事費や維持管理費などの予算も確認します。法規制や社会的な背景については、建築基準法や都市計画法などの法令や条例、建築物の用途や規模に応じた設計基準や指針などを調べます。建築物が位置する地域や社会の特性やニーズ、将来の変化や課題なども考慮することが重要です。

コンセプトスケッチ

コンセプトスケッチとは、建築物の全体像やイメージを図面や模型などで表現することです。建築物の設計において、最初の段階でおこなわれて、建築物の形や色、素材、間取りなどを大まかに決める際に用いられます。また、建築物の目的や条件を明確にしたり、建築物の特徴や魅力を表現したりすることに適しています。建築物の構造や機能、予算や工期を見積もる場合にも有効です。さらに、建築物の詳細設計に向けてアイディアを発展させたり、施主や関係者とのコミュニケーションを図る場合にも利用できます。

基本設計

基本設計では、コンセプトスケッチで決めた内容を詳細に設計します。この工程では、建築物の形や色、素材、間取りなどを具体的に決めていくことが必要です。建築物の外観や内部空間のデザインから、建築物の構造体系や構造材料の種類や寸法なども設計します。断熱性能や気密性能などの環境性能、建築物の用途や機能に応じた設備や材料も考慮することが大切です。構造設計や設備設計などの専門家と協力して、建築物の安全性や快適性を確保します。

実施設計

実施設計とは、基本設計で決めた内容を実際に建築するための図面や仕様書にまとめることです。具体的には建築物の外観や内部空間、構造や設備などの詳細なデザインをおこないます。また、工事費や工期などの見積もりもおこないます。実施設計で作成した図面や仕様書などをもとに工事費や工期を算出し、それに応じて工事請負契約を締結するのが一般的です。実施設計では、建築確認申請もおこないます。作成した図面や仕様書などをもとに、建築基準法や都市計画法などの法令や条例に適合しているかを確認します。

監理

実施設計で作成した図面や仕様書に沿って、工事が適切におこなわれるかを監督します。工事の進捗や品質をチェックし、問題があれば指摘や指示をおこなうことが必要です。工事に関する書類や図面の作成や確認だけでなく、施主や施工業者との打ち合わせや連絡業務も担います。工事が設計図書のとおりに実施されていない場合には、直ちに施工者に指摘し、修正を求めることが義務です。さらに、工事の完成後には検査や引き渡しもおこないます。

意匠設計士の平均年収

意匠設計士の平均年収は、勤務先の企業によって差がありますが、一般的には日本の平均年収よりも高く、500万円~700万円程度と言われています。また、意匠設計士には建築士の資格が必要になることが基本で、さらに所持している資格によって請け負える仕事が異なり、年収が変わります。意匠設計士の主な勤務先には、以下のようなものがあります。

ゼネコン(年収600万円~800万円)

ゼネコンに勤務する意匠設計士は、一般的に、ビルや商業施設などの近年需要が高まっている大規模なプロジェクトに取り組む機会が多いでしょう。建設会社で働く場合には、いくつかの利点があります。

例えば、自社の施工部門と連携しながら、詳細な設計をおこなう機会があり、自身が設計した図面通りに建物が完成する充実感を味わえます。さらに、大手建設会社の多くは働き方改革に積極的に取り組んでおり、最新のテクノロジーや快適なオフィス環境での労働環境がある場合もあるため、業界の中でも特に魅力的な就職先と言えるでしょう。

設計事務所(年収500万円~700万円)

設計事務所で働く意匠設計士は、施主の要望に応えてオリジナリティあふれるデザインを提案することが多いでしょう。設計事務所で働くメリットは、自身のデザイン感覚と創造性を発揮できる機会があることです。クライアントからの直接の感謝を受けることもあるかもしれません。また、キャリアアップをしていく中で、一級建築士として独立するチャンスもあるでしょう。大手設計事務所で大型プロジェクトを担当する人の中には1000万円を超える方もいらっしゃいます。

ハウスメーカー(年収500万円~700万円)

ハウスメーカーで働く意匠設計士は、自社の商品に合わせてある程度規格化された設計をおこなうことが一般的です。ハウスメーカー勤務のメリットには、早期に意匠設計の経験を積める点が挙げられます。既存の設計やプランをベースにすることが多いため、プロジェクトごとにゼロから設計することは他と比べて少ないでしょう。また、大手ハウスメーカーでの勤務には経済的な安定性があります。安定した給与と福利厚生は大きな魅力であると言えます。

意匠設計士のメリット・デメリット

この章では、意匠設計士として働く際の具体的なメリットとデメリットを紹介します。

メリット

意匠設計士のメリットは、建築物の外観や内観を自分のセンスや想像力で制作できることです。新しいアイデアや美的価値観を取り入れて建築物をデザインすることができるでしょう。また、意匠設計士は建築プロジェクトにおいて、建築物の全体的なコンセプトや方向性を決定する重要な役割を担うため給料が高い傾向にあります。さらに、意匠登録を取得することで、他社のコピー防止や製品の信頼性向上などの法的な保護を受けることができ、設計の独自性を守ることが可能です。

また、今後予定されている大規模な再開発においては、その地域の新たなランドマークとなる建築物のデザインを手掛けることもあるでしょう。自分のセンスを活かし、地域社会の特徴やニーズを踏まえることで、その地域の多くの人々に喜んで利用してもらえる建築ができれば、一生心に残るようなやりがいを感じることができるかもしれません。

デメリット

意匠設計士のデメリットは、構造設計や設備設計と連携し、施主の要望に応えるために細部にまで気を配らなければならないことです。設計の美的要素だけでなく、実用性や安全性も考慮する必要がある仕事だと言えます。

また、意匠設計士になるにはそれなりの時間と費用がかかり、専門教育を受けたり、資格を取得することが必要です。年収は高い傾向にあるものの、それを実現させるには転職や新たな資格の取得が必要な場合もあります。

ただし、建築業界は今後も大きな需要が見込まれるため、キャリアの発展に対する努力をした分、資格手当や基本給アップなどのチャンスを得られる可能性もあるでしょう。

未経験から意匠設計士になる方法

意匠設計士になるためには、まずは建築設計の学校に入学し建築関連の専門知識を得ることをおすすめします。正社員採用は学歴を問われることが多いため、仕事探しや資格取得の近道になるはずです。次に何らかのかたちで経験を積み資格を取得することです。経験や資格があることで、就職活動が有利になるでしょう。

建築設計の学校に入学する

意匠設計士になるためには、建築設計の大学、高専などに入学し、建築の基礎知識や技術を学ぶことが不可欠です。学校では建築の基本原則や設計理論について学びます。そして、建築物の構造やデザイン、耐久性、法的規制などに関する知識を習得できます。学校では経験豊富な教員から指導を受ける機会があり、建築設計の専門家から直接学べるのが特徴です。

建築士の資格を取得する

建築士には、木造建築士・二級建築士・一級建築士の3つの資格があり、それぞれ設計できる建物の対象や範囲が異なります。まずは基礎となる二級建築士の資格取得からスタートし、経験を積んで一級建築士の資格を目指すことが一般的です。一級建築士は専門性が高く複雑なプロジェクトを担当するため、年収が高くなりやすい傾向にあります。

意匠設計の仕事を探す

意匠設計の職場として一般的なものとしては、ゼネコン、設計事務所、ハウスメーカーなどがあります。各職場は、扱う建物の用途、規模、デザインの自由度などが異なるため、自分の希望や適性に応じて選ぶことが重要です。キャリアの目標やライフスタイルに合わせて選び、選択した職場がどのように自身の成長に繋がるのか見極めましょう。転職が初めての場合は、面接対策やキャリアの方向性などの相談ができる転職エージェントの利用がおすすめです。

意匠設計の実務経験を積む

意匠設計士になるためには、実務経験が重要です。派遣でのCADオペレーター経験や設計業務経験でも問題ありません。現場での経験は、書籍や教室では得られない実践的なスキルを磨く機会です。プロジェクトの進行や課題に取り組み、問題解決能力や設計スキルを向上させることができるでしょう。クライアントや雇用主にとって、実務経験は意匠設計士の信頼性と信用を高める要素の一つです。過去のプロジェクトでの成功体験が、将来の仕事の機会を増やすことに役立つでしょう。

意匠設計についてまとめ

意匠設計になるには、建築学やデザイン学などの専門知識や技術を身につけておく必要があります。就職・転職には建築士などの資格があると有利でしょう。意匠設計は、創造性や感性が求められる仕事ですが、同時に細かい作業や打ち合わせも多くあります。意匠設計に興味がある方は、自分の得意な分野やスタイルを見つけて、磨いていくことが大切です。

また、キャリアプランや転職活動に不安がある人は、転職エージェントの利用を検討するのが良いでしょう。

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