まずはプラントやプラントエンジニアリングとは何か？について触れておきましょう。プラントとは大規模な工場設備を指し、建設業界では原料やエネルギーを生産する大規模施設と思っていただいて問題ありません。プラントエンジニアリングはプラント専門のゼネコンをイメージしてください。すなわち、プラントを専門に建物や施設の設計から完成までを請け負い、管理する会社を指します。

プラントエンジニアリング業界は「プラント・エンジニアリング」「水処理プラント」「環境・リサイクル」の3つに分類され、主な業務としては「基本設計」「詳細設計」「機材調達」「建設工事」の4つです。

今回の記事では「建設工事（施工管理）」の仕事内容やプラント業界の施工管理に向いている人について紹介していきます。

プラント施工管理の仕事内容について

プラント施工管理はプラントの建設計画で立てられた予算や工期に応じて計画を立て、関係業者等の手配を行うのが一般的です。工事が始まると以下の業務が発生します。

• ・原価管理
• ・工程管理
• ・品質管理
• ・安全管理
• ・環境管理

他の施工管理と同様に各管理が求められていますが、プラントの現場では高度な機械を扱うケースも多いのが特徴です。そのため、設計や製造における専門知識が役立つシーンがよくあります。特に制御・計装設計、機器設計などにおいてはエンジニアと作業を進めていく場面も少なくありません。

以下は、各管理業務についてのおさらいです。施工管理として従事している方は再確認として、これから施工管理を目指す方は予習としてご覧ください。

原価管理

予算をセクションごとに配分したり、適切に使われているかなどのチェックや状況によっては予算内に収めるための指示を出したりもします。

工程管理

プラントの施工管理固有ではないかもしれませんが、プラントの工事は納期が厳密に決まっているため、少しの遅れも許されないため、作業能率をあげたり、トラブル発生時には速やかな解決・挽回する柔軟性も欠かせません。

品質管理

設計や仕様どおりに工事が進んでいるか、定期的に確認します。確認が終わらなければ、次の工程に進めません。基準を満たしていない場合は、作業内容の見直しやスケジュールの変更が発生します。

安全管理

声かけなどスタッフへの注意喚起が重要です。さらに、労働環境に問題が無いか点検を行ったり、作業体制を見直したりします。

環境管理

現場を視察する機会も少なくありません。環境が乱れていると、従業員の作業効率が下がったり、怪我をしたりする原因になるからです。気になる点があれば、指摘したり、改善したりします。

プラント施工管理になるメリットとは

プラント施工管理には安定した需要と高収入の見込みがあり、柔軟な働き方が可能です。これらのメリットは、多くの求職者にとって非常に魅力的といえるでしょう。

安定した需要がある

プラント施工管理の仕事は新設工事に限らず、点検・修理、老朽化による建て替えなど、多岐にわたります。法律で定められた定期修理（定修）もあり、安定した需要が見込めます。

その他、プラントの長寿命化や効率向上のため、新技術の導入や改良も頻繁に行われます。プラント施工は比較的、業界の最新技術に触れることができるため、専門知識を深められる点もメリットです。

高収入が見込める

施工管理の仕事は高収入の部類に入ります。中でも、プラント施工管理は特に高水準の収入が期待できます。平均年収は他の業種と比べても高い傾向にあり、プロジェクトの規模や内容によっては、更に高い報酬が得られることも。

高収入を望む方は、大規模プロジェクトや海外プロジェクトなど、特別な条件での仕事を受けれるかチェックするとよいでしょう。専門的な知識や経験を持つ仕事は、価値が評価されるため、専門職としての高い収入とキャリアを築くことができるのです。

柔軟な働き方ができる

プロジェクト期間中は長時間労働が求められることがありますが、プロジェクト間には長期の休みを取ることが可能です。

これにより、プロジェクトが終了した後には、家族と過ごしたり、趣味に時間を費やしたりすることも可能です。また、プラント施工管理はフリーランスとして働くことも可能で、自由度の高い働き方を選ぶことができます。自分のライフスタイルに合わせた働き方をしたい方には、プラント施工管理がおすすめです。

プラント施工管理に必要な資格は？

プラント施工管理に必須の資格はありませんが、資格を持っていると＋αのスキルとして評価につながります。資格の取得は、知識やスキルの証明となり、将来的にキャリアアップを行いたい方はどんな資格が有効なのか確認しておきましょう。

具体例

• ・各種1級施工管理技士
• ┗この資格は、建設業界での施工管理のプロフェッショナルとして認められる資格です。高度な知識と経験が求められます。
• ・一建築士
• ┗建築設計や施工に関する専門知識を持つ資格で、プラントの設計や施工にも役立ちます。
• ・技術士
• ┗技術全般に関する高度な知識を証明する資格で、多様な技術分野に対応できます。
• ・電気工事士
• ┗電気工事に関する資格で、プラントの電気設備の施工に必要な知識を持っています。
• ・電気主任技術者
• ┗電気設備の運用や保守に関する資格で、電気設備を設けている事業者は法令により選任者が必要となるため、高度な専門知識を持つことが求められます。

他にも、プラント施工管理に関連する資格として、次のようなものがあります。

• ・安全管理者
• ┗現場の安全確保を担う資格で、安全な作業環境を整えるために必要です。安全意識の高い現場は、トラブルや事故の発生を未然に防ぐことができ、全体の作業効率も向上します。
• ・環境管理士
• ┗環境保護の観点からプラント施工における環境対策を行う資格です。環境に配慮した施工管理は、企業の社会的責任を果たす上でも重要です。
• ・品質管理検定
• ┗品質管理の基本知識を身につけるための資格で、施工の品質を確保し、顧客の信頼を得るために役立ちます。品質管理の知識を持つことで、トラブル発生時の迅速な対応や防止策の策定が可能になります。

これらの資格を持つことで、プラント施工管理者としての総合的なスキルセットを強化し、現場での信頼性と評価を高めることができます。資格取得は自己啓発の一環としても有効であり、継続的な学習とスキルアップを図ることで、長期的なキャリアの発展が見込めます。

プラント施工管理におすすめな人とは？

プラント施工管理に向いている人は、コミュニケーション能力が高く、リスクヘッジができ、段取りが得意な人です。これらのスキルは、現場での円滑な業務進行に欠かせない要素です。

コミュニケーション能力

プラント施工管理者は、現場と発注者の間に立つ立場です。両者の意見を聞きながらさまざまな作業を調整し、最適な解決策を見つける能力が求められます。そのためプラント施工者は、現場作業員や技術者との連携が重要です。

この他、発注者とのやりとりでも、コミュニケーション能力が問われます。プロジェクトの進行状況や予算の管理について報告し、適切なフィードバックを受けるのは非常に重要なため、コミュニケーション能力が必要だという点は理解しておきましょう。

リスクヘッジができる

プラントの工事は危険物の取扱いや高所作業があるため、施工管理者は安全管理や危機管理能力が重要です。例えば、危険物の取り扱いに関する知識や、高所作業の安全対策が求められます。予測されるリスクに対しては、適切な対策を講じられる能力が必要です。

プラント工事で問題が発生した際には迅速に対応し、被害を最小限に抑えなければなりません。プラント工事は施工管理者が、安全な作業環境を維持し、プロジェクトのスムーズな進行を支えるからこそ成り立っているのです。

段取りができる

プラント施工管理は現場を指揮する立場であるため、段取りが良いと作業員の信頼を得やすいです。効率的な作業計画を立て、各作業の順序を明確にすることもプラント施工管理の仕事の一つ。作業の無駄を減らし、全体の効率を向上させたり、予期せぬトラブルが発生した際には、即座に対応策を講じたりして、作業の遅延を防ぐことが重要です。

まとめ

プラント施工管理は、専門性が高く、責任重大な仕事ですが、高収入と安定した需要が魅力です。能力としては、リスク管理やスケジュール管理、原価管理など多岐にわたるスキルが求められます。また、資格取得によりスキルアップを図ることもおすすめです。資格を持つことで、さらに専門的な知識を身につけ、キャリアアップのチャンスを広げることができます。

転職を考えている方は、転職エージェントの利用も検討してみてください。業界に特化したエージェントに相談することで、あなたのキャリアをサポートし、最適な職場を見つけるお手伝いをしてくれます。