施工管理は未経験でもなれる?必要な資格や勉強も解説
建設・不動産 転職豆知識
2024.11.14
土地開発やインフラ整備の活況に伴い、建設現場での需要が高まっているのが施工管理の仕事です。建築業界への転職を考える際、未経験でも施工管理の仕事に就けるかどうかは気になるところ。施工管理を行う上でどのような資格や勉強が必要なのかも含めて解説します。
施工管理の仕事内容とは
施工管理とは、各種の工事現場での仕事を安全に、そしてスムーズに進行させるための業務全般のことをさしていいます。具体的な内容としては「工程管理」「安全管理」「品質管理」「原価管理」の4つです。
工程管理
全ての工事には納期があります。これはクライアントとの約束、すなわち厳守すべき契約事項になります。決められた期日内に工事を終わらせるためには、作業の進行を見据えながら適切な人員配置や重機類の手配を行ったり、突発事項に備えて各種のローテーションを臨機応変に組み替えたりする必要があります。このような全般的なスケジュール調整を行うのが工程管理の仕事です。
安全管理
事故が起きないように工事を進めることは、建設現場に最も求められる留意点になります。作業する人の安全はもちろん、現場周辺を通行する人の安全を守るために何をすればよいか、常に気を配りながら危険因子を取り除くのが安全管理の仕事になります。
品質管理
工事における品質とは、当初の設計通りに作業が進んでいる状態をキープすることです。決められた材質や素材が適切に用いられているかといった基本的な項目チェックのほか、設計図と異なる施工漏れはないか、あるいは過剰な施工はないかといった点に目を光らせて、結果的に想定通りの仕上がりを実現させるのが品質管理の仕事であるといえます。
原価管理
工事予算はあらかじめ決められており、予算の範囲内で工事を完成させることが求められますが、人員の増減や突発事項の発生によって、必ずしも計画通りに進行せず、臨機応変に作業を組み替えたりスケジュールの再調整を行ったりしなければならない事態も予想されます。予算内に収めるためには、その都度経費を足したり削ったりして、総費用を調整する必要がありますが、これら一連の作業が原価管理の仕事になります。
施工管理は未経験でもなれる?
建設業界への転職を考えている場合、将来的にも非常にニーズの高い施工管理の仕事に未経験でも就くことができるかどうかは、少なからず気になるところかもしれません。結論から言えば、施工管理を行う場合、一部の業務を除いて特別な資格は必要ないので、建設業界の未経験者でもその職に就くことは可能です。実際に、各種の求人媒体には、施工管理の職種について未経験者歓迎の記載も数多くみられます。
ただし、その際に注意しなくてはならない点が2つあります。1つは、施工管理と現場監督を混同してしまうことです。施工管理も現場監督も、工事現場を管理・監督するという点では変わりありません。しかし、両者の大きな違いは、現場監督が「工事現場で展開される仕事全般に対する管理・監督」に特化する役割を果たすのに対して、施工管理は、「工事現場だけでなく工事そのものの計画全般に関わる仕事」であるという点です。そのため、監督官庁やクライアントなど工事のあらゆる関係者との折衝のほか、関連する書類の作成、提出などにも広く責任を持つ必要が生まれます。未経験者が求人に応募する場合、施工管理の仕事のイメージで転職したら実際は現場監督の仕事だった、といったミスマッチを起こさないよう、事前に仕事内容を明確に把握しておく必要があります。
2つ目の注意点は、施工管理の仕事を実際に行っていくためには、施工管理技士という国家資格を取得する必要があるということです。企業が建築現場で工事を行うためには建設業許可を取らなければなりませんが、そのためには「営業所に施工管理技士を配置しておかなくてはならない」という決まりがあります。さらに各現場には、主任技術者や監理技術者を置く必要も生じます。そのため、未経験で施工管理の仕事自体は行えるものの、ゆくゆくは施工管理技術士の資格を取得してくれることを企業は期待するでしょう。
未経験で施工管理になる方法とは
未経験でも施工管理の仕事に就くこと自体はできますので、転職の希望があれば、まずは施工管理の職種を募集している求人をチェックする必要があります。チェック先としては、近くにある国の職業紹介機関であるハローワークで求人企業を直接検索する方法や、一般求人誌やインターネットの求人サイトをチェックして、希望に沿った勤務条件の企業をピックアップする方法などもあります。
その他に、転職自体が初めての人や忙しくて時間が無い人におすすめの方法として、専門特化した転職エージェントに登録して求人の紹介をしてもらう方法があります。最近は建設業界の活況を背景に求人ニーズが高いことから、施工管理に特化した転職エージェントも複数立ち上げられています。これらのエージェントに登録することで、未経験でも魅力的な待遇を提供している優良企業を手間なく見つけるという方法もあります。いずれにしても、未経験でありながらあえて施工管理の職に就こうとする志望動機や、施工管理という仕事に対する意欲を効果的にアピールできるよう、事前にしっかりと整理しておくことが必要です。
転職に成功すれば、施工管理の仕事に就くことはできますが、実際に現場を取り仕切るためには資格を取得して施工管理技士となる必要があります。施工管理技士は現場の種類によって、「土木施工管理技士」「建築施工管理技士」「管工事施工管理技士」「電気工事施工管理技士」「電気通信工事施工管理技士」「造園工管理技士」「建設機械施工技士」という7種類に分けられており、それぞれに設けられているのが1級と2級という2つの資格レベルです。1級・2級ともに資格取得には一定年数の実務経験が必要になりますので、まずは現場で先輩について施工管理の仕事を勉強しながら、国家試験に向けた対策を立てることが大切です。試験対策としては、転職先が用意してくれる試験対策講座を受講したり、市販のテキストや一般の資格専門講座を利用したりすることで実力アップが図れるでしょう。
未経験で施工管理になる際の注意点とは
未経験で施工管理の仕事を行う際に注意すべきは、その仕事が自分に合っているのかをしっかりと確認しておくことが必要だという点です。施工管理は確かにニーズの高い人気の職種ですが、仕事との相性を確かめないままに転職してしまうと、こんなはずではなかったと後悔することにもなりかねません。施工管理に適性のある人は、主に次のようなタイプになります。
コミュニケーション能力の高い人
工事に関わるあらゆる局面で、関係者と折衝したり協力を仰いだりするのが、施工管理の仕事の根幹となります。自分の主張を一方的に押し付けるのではなく、相手の立場も尊重しながら円滑に仕事を進めることが求められるため、施工管理者にとって周囲と上手に協調できるコミュニケーション能力は欠かせません。
臨機応変に対処できる人
工事を進めていくうえでは、予期せぬトラブルがいつ発生してもおかしくありません。突発的な出来事が起こっても事態を冷静に収束し再び軌道に戻すには、その場に最適な瞬時の判断が求められます。そのため何事にも臨機応変に対処できる能力は、施工管理業務を担ううえでの重要なスキルになります。
何事にもコツコツと取り組める人
工事の計画段階から完了まで、長いスパンであらゆる局面に関わるのが施工管理の仕事になります。工事を前に進めるためには、一つひとつの工程を積み重ねながら、根気よく作業にあたっていかなくてはなりません。飽きっぽい性格ではなく、何事にもコツコツと取り組める粘り強さが、施工管理を行ううえでの必要な資質になります。
施工管理は未経験でも転職可能、ステップアップのためには資格取得も必要
建設業界で需要の高い施工管理は、未経験でも転職することが可能な仕事です。しかし、実際に仕事をするうえでは、さらに勉強して施工管理技士の資格を取得することが求められ、その努力が将来のキャリアアップにもつながります。ただし、施工管理には適性がありますので、業界に特化した転職エージェントに相談したり、事前に自分のタイプをしっかり確認したりしてミスマッチを防ぐことが大切です。