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発注者支援業務とは?仕事内容や必要な資格などを解説

建設・不動産 転職豆知識

2024.12.19

求職者の中には、発注者支援業務の内容を知りたい方もいるでしょう。発注者支援業務とは、公共工事や事業監理業務において、発注者である国土交通省などの業務を代行する役割を担う仕事です。本来であれば国土交通省の職員が発注者としての業務を行いますが、その一部または全てを代わりに実施するのが、発注者支援業務の役目です。

今回は、発注者支援業務に興味がある方のために、その仕事内容について詳しく解説します。さらに、実際に働く上で必要となる資格やスキルについてもまとめました。この記事を読むことで、発注者支援業務の基本的な仕組みが理解できるでしょう。ぜひ参考にしてください。

発注者支援業務の仕事内容

発注者支援業務の仕事内容

発注者支援業務の仕事内容は、大きく3つに分かれます。

  • ・積算技術業務
  • ・工事監督支援業務
  • ・技術審査業務

いずれも工事の円滑化に欠かせないため、各業務の内容を見ていきましょう。

積算技術業務

積算技術業務とは、公共工事の予定価格を算出する作業のことです。公共工事では多額の予算が必要とされるため、発注代行業務の担当者が必要な資料を作成し、費用の算出をサポートします。このコストの見積もりを正確に行うためには、資料作成だけでなく、事前の調査も重要な役割を果たします。

積算技術業務によって、発注者は正確な費用を把握でき、受注者との情報共有も円滑に行えます。積算技術業務の流れは以下のとおりです。

  • 1、現地調査
  • 2、結果に基づき発注用図面や数量統括表の作成
  • 3、積算資料作成
  • 4、積算データの入力

工事の費用を見積もるには、まず現地の状況を調査をしなければなりません。工事予定地の状況を調査結果としてまとめ、それを調査職員に提出します。書類が承認されると、工事発注図面や数量統括表を作成します。積算資料は、工事に関するシステム入力データや各種数値を算定する仕組みです。

この際、工程計画案や特記仕様書の内容なども、必要に応じて修正します。最後に、公共建築工事積算基準類やこれまでの工程業務の結果に基づいて、積算データを入力します。

積算技術業務では、発注者に対してさまざまな書類を提出しなければなりません。そのため、施工現場の情報を詳細に調査し、正確な資料にまとめることが求められます。

工事監督支援業務

工事監督支援業務

工事監督支援業務は、発注者と受注者の間に立ち、施工計画の調整や情報共有を手助けするのが主な役目です。この業務では、工事発注者の契約履行状況の確認や受注者との協議、工事施工の円滑化をサポートします。

工事計画や予算に関して認識のズレを防ぐため、このような調整役が非常に重要となります。業務の大まかな流れは、以下のとおりです。

  • 1、設計図所に基づく施工工程や計画などのチェック
  • 2、材料や完成イメージの確認
  • 3、設計変更契約に関する書類の作成

工事監督支援業務では、まず施工工程や計画を確認し、発注者と受注者の間で施工に関する認識のズレがないかを確認しなければなりません。例えば、受注者が提出した資料を現場の状況と照らし合わせ、実際の施工状況が資料通りであるかをチェックする必要があります。

万が一、不測の事態が発生した場合には、迅速に現場の状況や原因を調査し、施工が遅れないように調整を行わなければなりません。このように、工事監督支援業務では、施工が計画通りに進んでいるかを常にチェックし、問題が発生した場合には即座に対応します。

工事監督支援業務に従事する者は、資料作成や現場検査などを行えますが、現場代理人や監理技術者に対して指示を出す権限は与えられていません。これらの制約を理解しつつ、工事監督支援業務の従事者は施工計画の調整役を務める必要があります。

技術審査業務

技術審査業務とは、落札者を決定するための重要な業務のひとつです。公共工事では特定の業者に直接オファーを出すのではなく、公募を行い、その応募者の中から最も適切な一社を選定します。

技術審査業務では、受注者の入札契約手続きにおいて、企業の技術力を評価します。公共工事を円滑に進めるために、発注者のニーズに最も合った受注者を選定しなければなりません。

技術審査業務の担当者は、落札者を決定する際に工事発注資料を作成し、その後、施工計画や技術提案資料など必要な書類を精査します。

その後、応募してきた業者のプロフィールを詳細に確認します。具体的には、過去の工事実績や技術者の資格調査などです。最終的に、これらの情報を基に審査資料を作成し、発注者への支援作業を完了させます。この一連のプロセスを経ることで、公共工事の適切な落札者が決定されます。

発注者支援業務に必要な資格やスキル

発注者支援業務に必要な資格やスキル

発注者支援業務はさまざまな専門知識が求められるため、求人では一定の資格を所持していなければ応募できません。また、資格だけではなく、特定分野におけるスキルも重要です。

必要な資格

必要な資格

発注者支援業務では、主に以下の資格が重要とされます。

  • ・土木施工管理技士(1~2級)
  • ・土木技術士/技術士補
  • ・RCCM(シビルコンサルティングマネージャー)

たとえば、土木施工管理技士は発注者支援業務において、非常に重要な資格として位置づけられています。公共工事には、道路やトンネルなど土木工事が多く含まれるため、これから発注者支援業務に携わるなら、土木施工管理技士の資格取得は必須レベルです。

特に、1級土木施工管理技士の資格を取得すれば、建設現場で監理技術者や主任技術者の業務が務められます。この資格があれば、工事監督業務をメインに担当し、建設現場での施工状況のチェックや検査確認が可能です。

一方、2級土木施工管理技士は、資料作成などの補助的業務が中心です。施工計画の作成に加え、工程管理や安全管理といった、施工者への技術支援を行います。これは、土木工事における裏方業務とも言えます。

発注者支援業務でキャリアアップを目指すなら、2級にとどまらず、1級の取得まで視野に入れておくのがおすすめです。資格の等級が高ければ高いほど、より多くの業務に携わることができ、責任ある役割を任される機会も増えます。

他にも推奨される資格として、土木技術士/技術士補やRCCM(Registered Civil Engineering Consultant Manager)があります。土木技術士は、主に建設コンサルタントやその志望者が目指す資格です。一方、技術士補は技術士の一歩手前の資格といったイメージですが、どちらの資格も施工管理関連の資格としては難易度が高いとされています。

RCCMもコンサルタント系の資格で、土木技術士と資格形態が似ています。RCCMは22の専門技術部門に試験内容が分かれており、その中で発注者支援業務と関連性が深いのは建設系の部門です。これらの資格は求人の要件になることが多いため、積極的に取得しておきましょう。

また発注者支援業務は、コンクリート建造物に携わる機会も多いので、以下の資格も推奨されます。

  • ・コンクリート主任技士
  • ・コンクリート診断士

コンクリート主任技士は、コンクリートの製造や施工に関する資格で、関連作業における計画、管理、指導などのスキルが求められます。主に新設構造物におけるコンクリートの取り扱いで、その知識と技術が必要とされます。

一方、コンクリート診断士は既存構造物の維持や管理に関するスキルが求められる資格です。この資格では、構造物の施工のチェックに加え、診断やメンテナンスなどの作業も担います。公共工事では、コンクリートを使用した建築物の施工が頻繁に行われるため、発注者支援業務を円滑に進めるためにも、これらに関連した資格は取得しておきましょう。

必要なスキル

発注者支援業務は資格だけでなく、以下のスキルも重要です。

  • ・コミュニケーションスキル
  • ・正確性
  • ・CADの操作

公共工事をスムーズに進めるためには、さまざまな場面での適応力が求められます。工事関係者との打ち合わせでは、コミュニケーションが重要ですし、施工管理時には正確なチェックや現場で働く人員のケアが不可欠です。また、建築物の設計図はCADソフトで作成されることが多いため、その操作に慣れておかなければなりません。

まずは、コミュニケーションスキルの重要性について見ていきましょう。工事関係者との意思疎通が非常に大切であり、スムーズな対話が欠かせません。発注者支援業務においては、発注者や工事請負会社の担当者と何度も打ち合わせを行うことになります。これらの打ち合わせで効果的なコミュニケーションを図れなければ、工事の進行は円滑に進められません。

工事請負会社の現場代理人や監理技術者には、直接指示が出せません。そのため、現場および発注者側の監督者との連携が非常に重要になります。たとえば、施工確認時に不備が見つかった場合は、発注者へ即座に報告しなければなりません。工事中のトラブルを避けるためにも、発注者支援業務ではコミュニケーション能力が非常に重要です。

次に大切なのは正確性です。公共工事の品質管理では、細部にまで注意を払う必要があります。施工内容が計画とわずかでも異なると、完成した建物のイメージが変わったり、施工不良が発生したりするリスクがあります。そのため、正確な情報の把握と適切な対処ができなければ、発注者支援業務は成功しません。

さらに、CADの操作スキルも重要です。特に、BIM(Building Information Modeling)とCIM(Construction Information Modeling)のノウハウが求められます。国土交通省の施工案件では、BIMやCIMの使用が増えているため、これらの操作方法を習得しておけば、業務の幅を広げられます。

このように、発注者支援業務では、コミュニケーション能力からソフトウェア操作まで、幅広いスキルが求められる仕事です。資格の取得だけでなく、実務に即した能力も身につけておきましょう。

まとめ

発注者支援業務のまとめ

発注者支援業務の特徴は、その業務範囲の広さにあります。資料作成から工事監督のサポートまで、さまざまな場面で活躍できるため、多様なスキルが求められます。特に、正確性が求められる業務が多いため、コミュニケーション能力やソフトウェア操作のスキルは欠かせません。

発注者支援業務の魅力は、大規模な公共工事に関わることで得られるやりがいにあります。国や自治体の案件に携わることで、転職後に収入がアップする可能性もあります。本格的な建設工事に関わりたいと考えているなら、発注者支援業務を目指すのもひとつの選択肢です。

実際にこの分野で就職するには、一定の資格やスキルが必要です。例えば、土木施工管理技士などの施工管理に関する資格を取得すれば、業務の幅が広がります。また、実務能力としてコミュニケーションスキルやソフトウェア操作能力を高めておくことも重要です。

そして、発注者支援業務に就職・転職したい方は、ぜひ転職エージェントへの相談がおすすめです。エージェントは企業紹介だけでなく、具体的なキャリアアドバイスも提供してくれます。発注者支援業務で活躍したいと考えている方は、ぜひ転職エージェントに問い合わせてみてください。

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